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University of Southern California, Marshall School of Business

プログラム名: Marshall School of Business Full-time MBA

Marshall School of Businessとは

基本情報

所在地 アメリカ カリフォルニア州 ロサンゼルス
URL http://www.marshall.usc.edu/
修業期間 2年
定員 約220名
出願締切 第1ラウンド 10月15日 / 第2ラウンド 1月15日 / 第3ラウンド 4月15日
結果発表 第1ラウンド 12月15日 / 第2ラウンド 3月15日 / 第3ラウンド 6月1日
出願に
必要な書類
  • 成績証明書
  • GMAT・TOEFLスコア(iBT100点以上)
  • 推薦状(1通)
  • 履歴書
  • ナラティブ・ステートメント(志望動機)
  • 申請同意書
※面接は招待制
出願費用 150ドル
授業料および
諸経費の目安
概算で約18万USD(生活費込)

 USC Marshall School of Businessは、1920年に設立された、アメリカ西海岸の中でも特に長い歴史と伝統を持つビジネススクールである。USCの17つあるプロフェッショナルスクールの中で最大のスクールであり、学部生、大学院生合わせて約4,000名の学生が所属している。ビジネススクールとして全米でトップクラスの評価を得ているほか、特にエンターテインメント、アントレプレナーシップの分野を強みとしている。MBAプログラムは1960年に開始され、2年制のフルタイムMBAのほか、アジアなど国際ビジネスに重点を置いた1年制のInternational Business Education and Research MBA(IBEAR MBA)プログラム、仕事をしながら通うことのできる約3年間のパートタイムプログラム、シニアマネジメント向けのエグゼクティブMBA(EMBA)プログラムが存在する。ここでは主にフルタイムMBAプログラムについて記述したい。

Marshall School of Business Full-time MBA

 フルタイムのMBAプログラムには約430名が所属しており、一学年当たり210~220名程度と、他校のフルタイムMBAプログラム(UCLA: 一学年約360名)と比較するとかなり規模が小さい。これは、より小規模な環境で学生同士の強力なネットワークを作るという学校の方針によるものである。卒業生は"Trojan Family"と呼ばれ、卒業後も互いに助け合うことが校風となっており、Marshall School of Business全体で世界123カ国に約82,000名の強力な卒業生ネットワークを築いている。

 Marshall School of Businessは学生の多様性を重視しており、全体の約3割をインターナショナルの学生が占めている。しかしながら、フルタイムMBAにおける日本人の学生は例年非常に少なく、Class of 2014(2014年卒の学年)、Class of 2015、Class of 2015でそれぞれ1名、3名、4 名である。入学後は約70名ずつA、B、Cと3つのコア(日本でいうクラス)に分かれるため、日本人と同じコアになることはまずない。そのためいい意味で日本人同士がグループ化することなく、アメリカ人との英語によるコミュニケーション、ディスカッション能力が鍛えられる。私費留学、社費留学の割合は学年によってまちまちであり、Class of 2015は3名中2名が私費、Class of 2015は4 名全員が社費派遣での留学であった。バックグラウンドはファイナンス系が多いものの、筆者のようにエンターテインメント業界からの私費留学や、官公庁、製薬会社からの派遣も含まれる。

 西海岸はロサンゼルスの中心部にあるということもあり、学校の雰囲気は非常にオープンで協力的である。成績は相対評価ながら、授業の課題はグループワークが多くチームで結果を出すことが求められている。卒業には4段階中3.0以上のGPAが必要となるが、必修科目の平均GPAは3.3、選択科目は3.5となっており、真面目に勉強してさえいれば卒業できないということを心配する必要はないだろう。

 気になるコストであるが、2015年現在1年目の学費が59,184ドル、2年目が49,320ドルである。公式ウェブサイトの計算によれば、生活費も含めて1年目93,223ドル、2年目77,353ドル、計170,576ドルが目安になる。だがこれはあくまでミニマムであり、課外活動への参加も考慮すると、実際は最低でも200,000ドル(日本円にして約2,400万円)はかかると考えておいたほうがいい。やや高金利ながら学校でローンが組めるため、合格後資金調達が厳しい場合は利用するといいだろう。

 受験する際に必要な書類はエッセイ及び推薦状1通、GMAT・TOEFLのスコア、大学の成績証明書(GPA)である。TOEFLはiBTで最低100点、GMATは700点前後が目安となる。GMATは650点程度のスコアがあればその他の部分で巻き返せる可能性があるものの、TOEFL iBTの100点は必須と考えていいだろう。現在IELTSやGREのスコアも認められるようであるが、実際にIELTS、GREのスコアで入学した学生は確認できていない。そのため、GMAT、TOEFLのスコアを取得するのが無難である。エッセイの内容は毎年異なるものの、毎回ある程度決まった質問として、Marshall School of Businessを卒業した後に何がしたいのか、Marshall School of Businessがそのゴールに対してどのような助けとなるのかが問われる。

Marshall内のBusiness of Entertainment専攻について

 Marshall School of Businessでは、USCのフィルムスクール学科、School of Cinematic Artsとの共同プログラムにより、特定の選択科目の単位を16 units取得することでGraduate Certificate in Business of EntertainmentというCertificateを取得することができる。16 unitsは約1セメスター(半年)分の授業にあたり、フルタイムMBAで学ぶ内容のほぼ1/4 の時間をエンターテインメントビジネスに特化した勉強に充てることになる。授業の内容は特にファイナンス、マーケティングなどビジネス面にフォーカスした密度の濃いものとなっており、北米における映画、テレビ、ゲーム等メディア・エンターテインメントビジネスについて、各界のエグゼクティブからほぼ網羅的に学ぶことができる。但し対象の授業にレジスターするためには、1年目秋学期の必修科目を全て修了した上で4段階中3.0以上のGPAが必須となるので注意が必要である。特に必修科目のうち一つでも成績がC-以下となると翌年再履修が必要となり、Graduate Certificate in Business of Entertainmentの取得は極めて難しくなる。以下が同Certificate関連で履修できる授業の一覧である。

クラス名 単位数
The World of the Producer 4 units
The Television Industry: Networks, Cable and the Internet 4 units
Feature Film Financing and the Studio System 4 units
Digital Technologies and the Entertainment Industry 4 units
Entertainment Marketing in Today's Environment 4 units
Graduate Film Seminar 2または4 units、最大で8 units
Publicity for Cinema and Television 4 units
Seminar in Motion Picture Business 4 units
The Business of Representation 4 units

 どのクラスで教える教員も第一線で活躍する大物ばかりであり、授業の質が極めて高いだけでなく、ネットワーキングという意味でもこれ以上ない機会である。例えば、The Television Industry: Networks, Cable and the Internetでは毎週FoxのスタジオでFXのPresidentであるEric Schrier氏から、TV業界のビジネスモデルについて20人程度の小規模クラスで直接講義を受けることができる。Foxの社員も毎回数名講義を聞きにくるため、授業の前後で一緒に食事をするなど、交流が可能である。彼の人脈を駆使したゲストスピーカーもレベルが高く、例えばLegendary Television and Digital MediaのPresidentであるBruce Rosenblum氏に、ソフトバンクから出資を受けた経緯について質問することもできるし、HuluのCEOであるMike Hopkins氏から日本事業を譲渡した理由を直接聞くことも可能である。

 Feature Film Financing and the Studio Systemでは、ColumbiaとUniversalという6大スタジオのうち2つで役員を務めた経験のあるFredric Bernstein氏から、スタジオ映画及びインディペンデント系映画についてファイナンスだけでなくディストリビューション、マーケティングなど映画ビジネス全般を学ぶことができる。Fredric Bernstein氏は弁護士でもあるため法律に明るく、またかつて映画プロデューサーを務めたこともあり、Tom CruiseやRobert De Niroなど映画界の数多くのスターとも仕事をしていた。そのため彼のカバーする領域は極めて広く、北米における映画に関するビジネスで彼の知らないことはほぼないと言っていい。授業の内容は毎回非常に濃く実践的で、業界の裏話や、本などでは決して学べない現場の空気感も含め、出し惜しみせずに彼の持つ知識を全て教えてくれようとする姿勢がある。期末試験では、ある仮のブロックバスター映画について世界での売上を予測し、ファイナンシャルモデルを作成する。教え方も丁寧で解りやすく、北米の映画ビジネスを学びたい人にとっておそらく最高の授業となるだろう。

 Digital Technologies and the Entertainment Industryはテクノロジーにフォーカスした授業内容となっており、Huluのスタジオで映画・テレビ業界の未来についての集中講義がおこなわれるほか、RealDを訪問して最新の3D技術について学んだり、FoxのスタジオでOculus Riftを使用したデモ作品を実際にプレイし、ゲームの未来の姿を体感することもできる。映画、テレビ、ゲームといったエンターテインメントは今まさにここ数十年で最大の変革期を迎えており、その一端をプロフェッショナルの立場から垣間見ることができる刺激的な授業である。

 上にリストアップした授業はMarshall School of Business以外にも開放されており、School of Cinematic Artsやその他スクールの学生も履修することができる。ただし、Marshall School of Businessの学生が先に優先的に席を確保できるという事情のためかクラスの50~80%程度はMarshall School of Businessの学生で占められており、他スクールの学生との交流という意味ではやや物足りない部分があるかもしれない。Class of 2015でGraduate Certificate in Business of Entertainmentの取得を目指す学生はクラス全体の10~15%、約20~30名である。それらの学生は元々エンターテインメント業界の出身、もしくはエンターテインメント業界への就職を目指してMarshall School of Businessに入学した人がほとんどである。それらの学生の中には就職に有利な東海岸のトップスクールからのオファーを辞退してMarshall School of Businessへ入学する人も多い。それだけ地理的、歴史的にUSCでしか提供できない価値のある授業があるということでもある。

 ビジネス面だけで飽き足りず、クリエイティブな側面も学びたい場合は、単位に参入されないものの上記科目以外でもSchool of Cinematic Artsの授業を履修することが可能である(Business of Entertainmentを専攻していない場合には、9 unitsまで卒業単位に含めることができる)。教授に頼めば正式にレジスターしなくても授業に参加させてもらえる場合もあるし、各授業で学ぶ内容がまとめられたcourse readerは一部USCのブックストアで購入することができるので、例え追加の授業料を払わなくともやる気さえあればいくらでも学ぶことのできる環境が整っていると言える。

Full-time MBA Programの1年次カリキュラム

Corporate Finance
Operations Management
Organizational Behavior and Leadership
Microeconomics for Management
Corporate Finance
Marketing Management
Operations Management
Contemporary Issues in Competitive Strategy
Managerial Statistics
Accounting Concepts and Financial Reporting
Management Communication for Leaders

 MBAでは定番と言えるストラテジー、マーケティング、ファイナンス、オペレーションなどのビジネス系科目に加え、ソフトスキルを強化するためのコミュニケーション系科目がバランスよく取り入れられている。中でも名物教授Greg Patton氏によるManagement Communication for Leadersは、特にインターナショナルの学生から評価が高い。コミュニケーション能力、プレゼンテーション能力の向上にフォーカスした授業内容となっているが、Greg Patton氏はパワフルで聞き手を惹き付ける力があり、授業そのものがプレゼンテーションの参考になる。ある時の授業では日本に馴染み深い雪印の食中毒事件をケースとして扱い、実際に学生が経営陣として模擬謝罪会見を開き、記者の卵である他校の学生が評価する、といった面白い取り組みもあった。4か月ほどの短期間で10数回のプレゼンテーションをおこなうことになるので、秋学期が終わる頃には問題なく英語でプレゼンテーションができるようになっているだろう。

 私費留学の学生はリクルーティングの一環として勉強の合間を縫い、クラブ活動、ネットワーキングイベントなどに積極的に参加する必要があるため、この時期の忙しさは想像を絶する。積極的に機会を利用しようとするなら休める日はほぼないと考えていい。心身共に極限状態の中でセルフマネジメントする能力が養われる。エンターテインメント系へ就職を希望する学生であれば、エンターテインメント系クラブであるBusiness of Entertainment Association(BEA)への参加は必須と言えるだろう。年に2回開催されるIndustry Nightでは、業界ごとにMarshall School of Businessの卒業生を招き、テーブルを回って話を聞くことができる。昨年はこのIndustry Nightで会ったエンターテインメント企業に積極的にアピールし、1か月足らずでフルタイムの内定を得た学生もいた。

 試験後のまとまった休みには大抵クラブ主催の各種Trekがある。Trekの内容は主催のクラブや年によって異なるが、毎年1月にBEAが主催しているStudio Trekでは、NBCUniversal、Paramount Pictures、Warner Bros.、Sony Pictures Entertainment、Disney、CBSなどを実際に回って現場や人事の方々と交流することができる。

 Marshall School of Businessは映画・テレビ以外のエンターテインメント業界とも強い結びつきがあり、ゲーム業界関連で言えばBlizzard Entertainment、 Riot Games、 Electronic Arts、 Zynga、 Glu、 SGN、カジノゲーミング・ショービジネスにおいてはMGM Resorts International、Wynn Resort、Caesars Entertainment、Station Casinoなどに多くの卒業生を輩出しており、各社を訪問しネットワーキングする機会はTrekやIndustry Night以外にも頻繁にある。

 1年目前半の秋学期を終えて後半の春学期は1月中旬から始まる。The Global Context of Businessという国際ビジネスを学ぶクラスのみ春学期の必修となっており、そのメインは各国を回って実際の企業に対してコンサルティングをおこなうPacific Rim Education (PRIME)というプロジェクトである。毎年内容は若干の変更が加えられるが、2014年のPRIMEでは、ペルー・アルゼンチン、台湾・中国、日本、ベトナム・タイ、韓国・中国、香港の6つの行き先があり、それぞれの国の候補の中からコンサルティングをするクライアント企業を選ぶシステムになっていた。Marshall School of Businessの強みを活かし、例年クライアントにはエンターテインメント関連企業が含まれる。2014年のPRIMEではタイ最大のメディアコングロマリットであるGMM Grammyや、メイド喫茶を展開する日本企業のNeo Delightもクライアントに含まれていた。プロジェクトはのべ60ページに渡るレポートの提出と、実際に現地に行きクライアントに向けておこなうプレゼンテーションから成る。国際ビジネスについて学ぶ上でもクラスメートとの仲を深める意味でもかけがえのない経験になるであろう。

 1年目春学期からは、上記必修科目のThe Global Context of Business以外は選択科目を履修することができるようになる。GPAの条件を満たしていればGraduate Certificate in Business of Entertainmentに関連するエンターテインメント系の授業を履修することもできる。ただし、大多数の学生が実際には2年目からGraduate Certificate in Business of Entertainment関連の選択科目を履修するので、1年目から急いで履修する必要はない。2年目から履修を始めてもCertificateに必要な16 units分取得することは十分可能である。

2年次カリキュラム

 6月頭から8月下旬まで約3か月の夏休みを挟んだ2年目秋学期からは、必修科目が完全になくなり全てが選択科目となる。そのため、授業の組み方によっては週2日だけ学校に登校し、残り5日間はインターンシップの時間に充てる、といったこともできる設計になっている。また、多くのエンターテインメント業界に興味のある学生がこの時期からGraduate Certificate in Business of Entertainment関連の授業の履修を始める。同Certificateを目指す学生のセメスター当たりの授業の取り方としては、Graduate Certificate in Business of Entertainment関連の授業2つ(8 units)+ Marshall School of Businessの授業2つ(6 units)といったパターンが一般的である。Marshall School of Businessの提供する選択科目にレジスターする際には持ち点800ポイントを各授業に割り振る形でbiddingがおこなわれ、人気科目は高いポイントを割り振らなければ補欠扱いとなる。しかしながら、Graduate Certificate in Business of Entertainmentの取得を目指す学生は受講したいMarshall School of Businessの科目2つのみにポイントを割り振ればよいため、他の学生と比較し大きなアドバンテージがある。主な人気授業をいくつか以下に挙げる。

  • Market Demand and Sales Forecasting
  • Project Management
  • Strategy and Operations Through CFO Lens

 Market Demand and Sales ForecastingはMarshall School of Businessの数ある授業の中でも最も内容の濃いクラスとして名高い。授業の内容は、統計学の回帰分析を軸にExcelでモデルを作り、マーケットの需要と売上を予測するもので、様々な分野に応用が効く。人気が高い分大量のポイントを割り振らなければ履修することは難しい。また、ワークロードが重いため、他の忙しい授業と重ねて受講するとタイムマネジメントが苦しくなる場合もあるので注意したい。

 オペレーション分野でコンサルタントをしていたMurat Bayiz氏による授業、Project Managementは、履修した学生からの満足度が非常に高い授業の一つである。MicrosoftのソフトProjectを使用し、Critical Chain Project Management(CCPM)の理論をベースにプロジェクトのリソース配分及びスケジューリングをどう最適化するかを学ぶ。エンターテインメント分野で将来プロデューシングやディレクションをすることを考えている学生にとっても有益な授業となるはずだ。

 Strategy and Operations Through CFO Lensはゲストスピーカーからの講義と、ゲストスピーカーが所属する会社についての学生によるプレゼンテーション及びディベートが授業の軸となる。授業の名前が示す通りゲストスピーカーは企業のCFOである。DisneyやMattel、Activision BlizzardといったFortune 500に含まれるエンターテインメント業界の大企業からもCFOが訪れるため、エンターテインメント業界を志す学生にとっても大いに刺激的な授業となるであろう。

 また、Marshall School of Businessの提供する通常の選択科目の中にもいくつかエンターテインメント関連の授業が含まれているので、特にエンターテインメントにフォーカスするのであればGraduate Certificate in Business of Entertainment関連科目に加え、それらの授業を中心に履修することもできる。Marshall School of Businessが提供しているエンターテインメント関連のクラスは以下の通り。

  • The Business of Sports Entertainment
  • Project Management
  • Management and Organization of the Creative Industries

 もしスポーツビジネスに興味があるのならば、The Business of Sports Entertainmentの履修は必須と言える。ProfessorであるDavid Carter氏はスポーツビジネスの権威であり、スポーツビジネスに関するどんな疑問、質問にも答えられるであろう。Marshall School of Businessの卒業生でもある。一方、講義は質疑応答が軸になって進められるため、北米のスポーツビジネスに興味がなく、積極的に授業に参加できないのであればあまり実りのある講義とはならないかもしれない。

 Fostering Creativityはビジネススクールの授業としては非常に珍しく、瞑想やヨガを講義に取り入れ、いかに脳のクリエイティブな部分にアクセスするかという方法論に重点を置いた授業である。空中ブランコのような強い緊張を伴う環境で自分自身の意識を"surrender"することを経験したり、自分の中のもう一人の意識"inner critic"をどのように制御するかを学んだりする。短編のストーリーを書いて発表することや、本格的なデッサンを学ぶことも授業に含まれている。特殊な授業のため万人向けではないが、1.5 unitsの短縮版クラスもあるので、unit数に余裕があれば受講してもいいかもしれない。一生忘れられない授業となることは間違いない。

 Management and Organization of the Creative Industriesでは、映画や音楽、ゲームなどのエンターテインメント業界全般について基礎的な概要を学ぶことができる。授業の多くはゲストスピーカーを招いての講義となるため、ゲストスピーカーのリストを確認してから履修するか判断してもいいだろう。

インターンシップ経験について

 MBAに入学した時点で、私費の学生にとって既に就職活動は始まっている。特にエンターテインメント業界での就職を目指すのであれば、いかに在学中に人脈を築けるか、スキルセットを身に付けられるかどうかが成功のカギとなる。第一の大きな山場と言えるのが、約3か月の夏休みを利用したサマーインターンシップである。

どのようにインターン先を決めるのか

 インターンシップ獲得の方法は大きく分けて2つある。on-campus recruitingとoff-campus recruitingである。On-campus recruitingでは、Marshall School of Businessの学生をサマーインターンシップとして雇用したいと考える企業がキャンパスを訪れ、学生に面接を実施する。レジュメドロップといって事前にMarshall School of Businessのキャリアセンターのウェブサイト上から、対象の企業にレジュメを送ることができ、選抜された学生が面接を受けられる仕組みである。On-campus recruitingの場合、元々企業側がMarshallの学生を採用しようという意欲を持っているため、比較的高い確率でインターンシップを獲得することが可能だ。エンターテインメント関連企業がon-campus recruitingで昨年実際にインターンを採用した実績としては、世界最大の玩具企業であるMattelや、アメリカ衛星放送首位のDirecTVがある。

 On-campus recruitingに近い例としては、Business of Entertainment Associationの主催した "Day on the Job"という各社を訪問して実施する職業体験イベント後に、訪問先企業であったParamountのリクルーターが興味を持った学生に直接コンタクトしてくるケースがあった。2014年にParamountはMarshall School of Businessから5名のサマーインターンを採用しており、エンターテインメント関連企業の中で最大のインターン雇用先となっている。

 On-campus recruitingを実施しない企業に対しては、学生が自らのネットワークを通じて直接自分を売り込むほかない。特にエンターテインメント関連企業はon-campus recruitingを実施していること自体が稀なので、off-campus recruitingが基本となる。各社ウェブサイトから募集しているインターンシップのポジションに対し正規のルートで申し込む方法もあるが、残念ながら期待薄である。幸いMarshallはエンターテインメントビジネスにおいて圧倒的な存在感があるため、卒業生はあらゆるエンターテインメント企業に必ずと言っていいほどいる。2014年夏にNBCUniversalからインターンシップを獲得したある学生は、LinkedInを利用してNBCUniversalで働く卒業生に直接連絡を取り、そこから採用権限者へコンタクトすることに成功した。あらゆる機会を利用して面接の舞台に上がるための努力が必要となる。また、面接は多くの場合電話でおこなわれるが、これは語学力で劣るドメスティックな日本人にとって非常に分が悪い。もし本命の企業から面接のオファーをもらったなら、飛行機で片道5時間かかるとしても対面の面接をお願いし、直接熱意を伝えるべきである。

職務内容や責任範囲について

 インターンシップ中の職務内容及び責任範囲は対象となる企業やポジションによってまちまちである。ビジネスデベロップメントやオペレーション、マーケティング、ファイナンスなどが一般的であるが、MBAということもあり、経営の中枢部分に関わることのできる場合もある。Blizzard Entertainmentでストラテジーのインターンシップを獲得した学生は、役員直轄の組織で重要な戦略立案に関わった。筆者は中国系ゲーム会社で、ほぼ一任される形で日本事業の立ち上げを運よく一から担当する機会に恵まれた。

インターンシップ期間について

 基本的にインターンシップは夏休みを利用して行うため、最低10週間などの制約がついている場合が多い。インターナショナルの学生はビザの関係上CPTという仕組みを利用し、授業としてインターンシップをおこなうことになるので、別途大学に授業料を支払い、レポートを提出する必要がある。週の就業時間も40時間までと限られている。夏休み終了後もパートタイムでインターンシップをすることは可能であり、その場合週の就業時間は20時間までとなる。学業と並行して働くことになるので、うまく時間の配分を調整する必要がある。また、大手映画スタジオでのインターンシップにおけるMBA学生の時給は平均30ドル程度であり、ファイナンスやコンサルティングの職種と比較するとやや見劣りするものの、低い水準ではない。夏で月5,000ドル、パートタイムのインターンシップでも月2,500ドル程度となるので、多少なりとも学費や生活費の足しにはなるだろう。

留学中にインターンシップをする重要性について

 インターナショナルの学生にとって留学中のインターンシップは何物にも代え難い貴重な経験となる。もちろん仕事は全て英語で進めることになるし、企業のカルチャーも日本とは全く異なる。なにより、アメリカにおけるビジネスを机上ではなく体感として学ぶことができる点は、日本で働いていても学ぶことのできない重要なポイントである。

 テクニカルな部分としては、夏に全くインターンシップをせずにエンターテインメント関連企業からフルタイムの内定を獲得するのは不可能に近いということを考慮すべきである。そもそもアメリカにおけるエンターテインメント関連企業での就業経験がなければ、面接に呼ばれることすら難しいからである。全く就業実績のない学部生に至っては、卒業後半年間無給のインターンシップをしてでもレジュメ上の実績を作る、ということもままある。

 インターナショナルの学生は語学力やビザのハンデがあるため、仮にインターンシップができたとしても、フルタイムの仕事を獲得するための難易度は非常に高い。多くのエンターテインメント関連企業がビザのサポートをしていないのが現状である。確認できている中でビザのサポートを公言しているのは、Blizzard EntertainmentやRiot Gamesなど一部の企業だけである。但し、交渉の余地はあるので最後まで諦めないことが重要だ。特に中小規模の会社であれば、弁護士を雇ってビザのサポートをしてでも人材を採用したいというところは多い。日本進出を検討している企業であれば、尚更可能性は高まる。

 また、インターンシップから直接採用する企業、そうでない企業があるため注意する必要がある。例えば、Paramountは多くのインターンシップを採用するものの、インターンシップからのフルタイム採用にはあまり積極的でない。一方DirecTVなどはそのまま高い確率でインターンシップから採用が決まる。しかしながら、Paramountのインターンシップからフルタイムに採用されなかったからといって、インターンシップに意味がなかったという訳では決してない。Paramountでインターンをしたという実績は、他のエンターテインメント関連企業から魅力的に写るため、就職活動には間違いなくプラスに働く。2014年夏にParamountでインターンをしたとある学生は、Cognizantというエンターテインメント系コンサルティング会社から素晴らしい内容のフルタイムオファーを得ることに成功した。しっかり先を見据え、本命の企業がどのようなスキルセットの人材を必要しているのか調査した上で戦略を立てることが重要である。

Business of Entertainment専攻の卒業生の進路について

 Marshall School of Business全体を見ると、他のビジネススクール同様ファイナンスまたはコンサルティングへとキャリアを進める学生が多い。一方、Graduate Certificate in Business of Entertainmentの取得を目指す学生は、総じてエンターテインメント業界に非常に強い関心を持っており、その多くがエンターテインメント関連企業へと就職する。毎年ばらつきはあるが、主な雇用先は6大スタジオに加えDirecTVやHulu等の映像系、Electronic Arts、Blizzard Entertainment、Riot Gamesなどのゲーム企業、Mattelなどの玩具系、エンターテインメント系コンサルティング会社であるOnPremやCognizantなどが挙げられる。特にエンターテインメント系コンサルティングは今後拡大が予想され、エンターテインメント業界へ就職を望む学生にとって有望な選択肢となるであろう。大手エンターテインメント関連企業の重要な戦略にブレーンとして関われるだけでなく、待遇もいい。卒業後の基本給は年間120,000ドルほどで、サインボーナスなどを含めると日本円にして初年度の年収が2,000万円前後となる。2014年にはDisneyからのオファーを辞退してOnPremに就職した学生もいた。また、映画やテレビのビジネスにキープレイヤーとして長期的に携わっていきたいのなら、大手スタジオに就職する前にCAAやUTAなどのタレントエージェンシーで経験を積むという選択肢もある。タレントエージェンシーは業界の人脈と情報が一点に集約される場所であり、事実FXのPresidentであるEric Schrier氏を始めエージェンシー出身のスタジオエグゼクティブは多く、同氏はその講義の中で学生に対し、エージェンシーへの就職を強く勧めていた。Eric Schrier氏の元でアシスタントをしているDanny Samit氏もまたエージェンシー出身であり、Harvard Business Schoolを卒業してタレントエージェンシーに就職し、その後Foxへと転職した。

大学によるサポート

 基本的にフルタイムの採用プロセスはインターンシップと同様であり、on-campus recruitingとoff-campus recruitingがある。但し、面接の回数はインターンシップの採用と比較して多くなりがちである。キャリアオフィスは学生ごとに担当者を用意しており、レジュメやカバーレターの校正、模擬面接を時間の許す限り何回でもお願いすることができる。また、on-campus recruitingを実施する企業を積極的に誘致することで学生の就職活動をサポートしている。インターナショナルの学生へ向けた、アメリカでの就職活動、ビザ及びグリーンカードの取得に関するセミナーも頻繁に開催されており、インターナショナルの学生に向けての基本的なサポート体制は全て整っている。但し、あくまでも動くのは学生本人であり、キャリアオフィスが職を見つけてくれる訳ではない。キャリアオフィスをうまく活用しつつ、主体的に動く必要がある。

留学生の卒業後の進路

 留学生の進路はまちまちであるが、基本的にアメリカで何らかの職を見つけて残るパターンが多い。社費派遣は日本特有の制度のようで、他国の学生は基本的に全て私費で留学に来ている。そのため、自国よりも好待遇な職が望めるアメリカで就職先を探す傾向が強い。卒業時に職が見つかっていない場合には、インターンシップを見つけてOptical Practical Training(OPT)という制度を利用することで最大一年間アメリカに留まることができ、就職活動を継続することができる。一部のインターナショナルの学生は家業を継ぐために卒業後の帰国が前提になっている場合もある。

エンターテインメント分野における著名な卒業生

 Marshall School of Businessはエンターテインメント業界と深い繋がりがあり、極めて多くの人材を同分野に輩出している。Marshallの卒業生であり日系アメリカ人三世でもあるKevin Tsujihara氏は、Warner Bros.に入社後ビジネスデベロップメントに従事し、2013年にCEOに就任、アジア系アメリカ人として初めて6大スタジオのCEOとなった。

 Riot Games創業者兼CEOであるBrandon Beck氏は、同じくUSC出身のMarc Merrill氏と共に2006年にRiot Gamesを創業し、2009年にゲームLeague of Legends(LoL)をリリース。同ゲームは史上最も成功したオンラインゲームの一つとなり、今やRiot Gamesは今世紀を代表するエンターテインメント企業である。

 2000年代に一世を風靡した音楽系SNS、MySpaceを創業したChris DeWolfe氏もMarshall School of Business出身である。同氏は2012年にもSGNというゲーム会社を設立した。SGNはスマートフォンゲームを中心に急成長しており、多くのUSC卒業生を雇用している。

 上記以外にも多くのエンターテインメント分野における著名人がMarshall School of Businessを卒業しており、MGM Mirageの前CEOであるTerrence Lanni氏や、サッカーのクラブチームLiverpool F.C.のオーナーであるTom Hicks氏などが有名である。