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[コース] Peter Stark Producing Program|USC School of Cinematic Arts

基本情報

所在地 アメリカ カリフォルニア州 ロサンゼルス
URL http://cinema.usc.edu/producing/
修業期間 2年
定員 約25名
出願締切 早期出願 11月1日、一般出願 11月15日
結果発表 3月2日までに発表
出願に
必要な書類
  • 成績証明書(GPA3.0以上)
  • TOEFLスコア(iBT100点以上)
  • 推薦者3名によるアンケート返答
  • 履歴書/CV
  • パーソナル・ステートメント

※面接は希望者のみだが、依頼される場合もある

出願費用 85ドル
授業料および
諸経費の目安
概算で約9万USD

クリエイティブとビジネス、両面を重視

 インディペンデント映画やテレビ・プロデューサー、映画会社やテレビ局のエグゼクティブ・キャリアのために作られた2年制大学院課程のPeter Stark Producing Programが重視するのは、アイデアとイマジネーションの力である。起業家精神を持ち、クリエイティブかつビジネスマインドを持ったプロデューサーを目指すことを教育理念としている。 カリキュラムは芸術的な企画開発力、ビジネス的な判断力の双方を磨くため、クリエイティブと経営、両面に重きを置いている。マーケティング、製作、配給といった映画ビジネスの各場面で必要なスキルと知識を身につけると共に、監督、脚本、撮影監督、編集などの領域をひと通り学び、映画製作に関するあらゆるポジションを経験できる。また、最新のトレンドに対応すべく、各コースは常に内容が刷新されている。

ゲストスピーカーを招き、現場の"今"を知る授業

 Peter Stark Producing Programの授業は2年間で44単位、すべてが必修科目で構成されている。クリエイティブとビジネスの授業の比率は50:50である。クリエイティブのクラスでは、HDの短編映画の製作や脚本分析、脚本開発、脚本執筆、プレゼンテーションなどを行ない、ビジネスのクラスではファイナンスや契約、テレビ番組プロデュース、スタジオ・マネジメントといった製作に必要な知識を学ぶ。

 1年次が比較的マクロなアプローチの授業であるのに対し、2年次は全体的に実用的な内容となっている。1年次は朝から夜の22時まで授業や製作に専念するが、2年次はインターンシップに参加するため、授業は夜間のみである。卒業課題はスケジュール、予算、マーケティング計画、配給計画を添付し、開発作業を終えた映画作品のプロジェクトが求められる。

 また、USCには任意で15~20分の短編映画を製作する「スターク・スペシャル・プロジェクト」という制度がある。これは各学年に3作品まで製作が認められるコンペティションで、事務局と映画業界のプロデューサー数名による委員会が作品を審査する。選考を通過した作品には、製作費として1万5000ドルが支給されるうえ、業界のプロデューサーがメンターとなり学生をバックアップしてくれる。

 授業のスタイルとしては、座学が中心である。とはいえ、ほぼすべての授業がゼミ形式であり、学生と教員の間で活発な会話が交わされる。また、業界で活躍するゲストスピーカーを招き、まさに現在携わっているプロジェクトについて話し合う。プロジェクト内容に深く踏み込んだ話も多いため、情報漏えい防止のために他プログラムの学生の聴講は許されない。

質の高さに定評のある教員

 1991年以降、Peter Stark Producing Programの学科長を務めるのは、Larry Turmanである。イギリスのアカデミー賞、並びにゴールデングローブ賞を獲得した『卒業』をはじめ、『アメリカン・ヒストリーX』『The Flim-Flam Man』『ボクサー』『激流』ほか多数の作品を手掛けたプロデューサーであり、映画・テレビ番組の製作総指揮作品も多い。また、自身が監督した映画も2作品発表している。Producers Guild of America(アメリカプロデューサー協会)の栄誉の殿堂(Hall of Fame)に認められ、フランダース国際映画祭の審査員も務めた有力者である。

 そんな彼がデザインしたカリキュラムは、学生からも高い評価を受けている。また、その高潔な人間性も教育理念に反映されている。Peter Stark Producing Programでは、信頼を裏切らないこと、約束を守ることがプロデューサーの務めだと強調し、倫理観の浸透を徹底している。 Larry Turmman以外の教員陣も、質の高さには定評がある。すべての教員が、エンタテインメント業界の実務家である。製作の渦中に身を置くプロデューサーからリアルタイムで直接学べ、プロセスを共有できることは学生にとって大きな刺激となっている。また、業界のプロフェッショナルがメンターとして学生につき、実用的なアドバイスを送ると共に、卒業後のキャリアを後押ししている。

 Peter Stark Producing Programの主な教員は、以下の通りである。

8週間以上のインターンシップが必須

 Peter Stark Producing Programの卒業条件のひとつに、8週間以上のインターンシップ修了が挙げられる。1年次を終えた夏期休暇期間中、学生はスタジオやエージェンシー、プロダクションなどにおいて実際の製作に携わる。大学はツテのある会社と学生とをつなぎ、レジュメ選考を通過した会社からの連絡を待って面接を受け、インターンシップ先を決めていく仕組みになっている。他校では無償のインターンシップが一般的だが、USCでは大学側が希望者すべてに有償のインターンシップを準備する。ハリウッドでは無給のインターンシップに参加するのも難しい中、有償のポジションを確保できるのは業界がUSCに高い評価を下している証であり、同校の大きな強みといえるだろう。

 製作会社またはスタジオでのインターンシップでは、例えば、現在制作中のプロジェクトの脚本が更新されるたびに、変更点、及び、notesと呼ばれる自分なりの意見を反映する作業をインターンが担当する。その際、参考にするのは、三幕構成に脚本が則っているか、ペース配分がスムーズであるか、登場人物がそれぞれの役割を存分に発揮しているか、などのポイントである。

 また、同様のプロセスをspec scriptと呼ばれる開発対象として可能性のある脚本に対しても行う。業務に忙しく、全ての脚本を読み込んでいる時間のないエグゼキュティブらが短縮版として参考にできるよう、脚本家名や要約、ジャンル、ストーリーを一つのセンテンスで表すlogline、配役、notesを読みやすく提示する。Comp filmと呼ばれる比較対象となりうる類似作品を示すことも含め、これまで観てきた映画などのストックや、自身の世界観が問われる作業だが、率直であると同時に、読み手を不快にさせない建設的な意見を示すことが求められる。

 夏季休暇終了後、2年次になってもインターンシップを継続する学生が多く、そのため2年次の授業は夜間のみとなっている。現場での経験を重ねながら企業とのつながりを深め、就職を有利に運ぶメリットもある。

就職活動は卒業後に開始

 2年間のプログラムを終えると、多くの学生にとって、就活が待っている。スタークの場合、夏に学校が紹介したインターンシップをそのまま仕事につなげる場合や、長期の卒業旅行に出る場合もあるが、インターナショナルの学生はOPTに突入するケースが多いため、アメリカに残ることを希望する場合、1年間という限られた時間の中でスポンサーとなる就職先を見つける必要が出てくる。

 卒業時点で仕事が決まっているのは全体の3分の1程度であり、中には、大手エージェンシーや、大手プロダクション会社に採用されたケースもあるが、留学生の場合、語学力や文化的背景を生かして、同じ国籍の企業や経営者の会社に行くことも多い。狙うビザの形態によっては、企業ではなく、現場経験を積むケースも出てくる。スタークは卒業前に、同じ年の12月末まで、業界で活躍するメンターを紹介してくれており、そのツテを辿ることもある。

 基本的には、過去のインターン先や、知り合い、学校の先輩などのネットワークのほか、複数の就活サイトで空きのあるポジションを探す。Starkの場合、ネットワーク力や助け合い精神が優れているとされ、各授業で講師やゲスト・スピーカーからキャリア・アドバイスが受けられる上、ビジネスマナーのワークショップも定期的に開催され、ビザ取得の際の弁護士リストなども紹介してもらえる。

入学条件および入学者の傾向

 毎年の募集人員は約25名で、入学は秋期のみとなっている。応募者数は400名程度で、男女や留学生比率は特に決められていない。ただし、留学生の受け入れに積極的なUSCの方針からか、留学生比率は非常に高い。アジア、ヨーロッパ、中南米と、さまざまな文化圏から学生を受け入れ、4分の1から3分の1は留学生で占められている。多様な国籍、バックグラウンド、キャリアを持つ学生との触れ合いを通じ、大きな刺激を受けることができる。 また、出願条件として、映像業界での経験を不問としている点もUSCの特徴である。学科長であるラリー・ターマンは、映画製作経験よりも人生経験を重視している。入学志願者が映画として語るに値する物語を持っているかどうか、その点を最も大切に考えているのだ。

卒業生が築く密接なネットワーク

 Peter Stark Producing Program初のMFA取得者は、1981年に誕生した。今日ではマーケティングやプロダクション、配給、ビジネスに携わるクリエイティブ・エグゼクティブとして、業界の至るところに卒業生が進出している。脚本家や監督になった者も多く、エージェントやマネージャーになった者も少数いるが、大半がプロデューサーとして活躍中だ。アカデミー賞、エミー賞、ゴールデングローブ賞をはじめ、数々の著名な賞を獲得している。

 また、卒業生同士のネットワークが強固な点もUSCの特徴である。業界就職率は50%ともいわれ、実際ハリウッドで働く業界人の中にUSC出身者が占める率は高い。その緊密なネットワークをフルに活用し、USC出身者は積極的に情報交換を行なっている。中でもPeter Stark Producing Programは、特に業界との関係を大切にする傾向が強い。2年間机を並べて共に学んできた同級生はもちろん、縦のネットワークも強く結ばれ、その後の仕事に活かされている。USC卒業生によるエージェンシー、スタジオ、プロダクション、監督などが大きな家族のように支え合い、一丸となってキャリアを進められるのが魅力だ。日本人映画製作者としても、ロサンゼルスに身を置くこと、USCでネットワークを築くことは、ハリウッド映画業界とのビジネスを進めるうえで極めて重要である。日本に帰国した場合も、日本でのコンテンツ獲得やビジネス展開でUSC卒業生同士と協働するなど、培ったネットワークを活かして活躍できるだろう。

 Peter Stark Producing Programの卒業生としては、『ER緊急救命室』および『シェイムレス 俺たちに恥はない』製作総指揮のJohn Wells(1982年卒)、『ジャンゴ 繋がれざる者』および『ワールド・トレード・センター』を製作したStacey Sher(1985年卒)、『フランケンウィニー』および『チャーリーとチョコレート工場』の脚本を手掛けたJohn August(1994年卒)などがいる。