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イベントレポート:地域コンテンツの力① 日本各地方からのテレビ局発、キャラクタービジネスの可能性
概説
中央集権型のテレビ局コンテンツモデルが変化しつつある中、地方テレビ局発のローカルコンテンツとして、キャラクタービジネスに対する注目が高まっている。35都府県のテレビ局にショートアニメを提供する株式会社ディー・エル・イーの代表とそれを放送する地方テレビ局の担当者が登壇し、地方テレビ局にとってのショートアニメの魅力や、そのキャラクターを活用したビジネスについて、ディスカッションが行われた。
内容

登壇者

前川佳之/Yoshiyuki Maekawa

福井テレビジョン放送株式会社 総務局 秘書部長)

油谷弘洋/Koyo Aburatani

北海道放送株式会社(HBC) メディア ビジネス局 イベント・メディア推進部 海外プロモーション担当)

正木伸一郎/Shinichiro Masaki

株式会社テレビ西日本 編成制作局制作部担当部長)

1.北海道の観光資源を生かし、収益につながる海外展開を模索

油谷 弘洋:

 北海道放送では、2010年にメディアプロモート部を設立して以来、海外に向けたさまざまな取り組みを行ってきた。現在は、番組販売、メディア招聘、イベントを組み合わせた複合プロモーションが展開の3つの柱になっている。番組販売については香港フィルマートに北海道のメディア各社が共同でブースを出展し、海外のバイヤーに向けてコンテンツを販売している。北海道のものでは旅番組、グルメ番組のニーズが高く、総合情報番組の中の旅コーナー、料理コーナーをまとめたものも商品になる。販売にはさまざまな交渉力も問われ、現在はノウハウを蓄積している状況だ。

 メディア招聘では行政や観光団体の依頼を受け、海外向けの観光プロモーション番組を、海外メディアを招いて制作している。取材先はこちらでセッティングし、撮影や編集は彼らの視点で行うというやり方だ。今年5月にも香港TVBのスタッフを招いて番組が作られ、同じタレントを使った観光コマーシャルの提案なども行った。イベントを使った複合プロモーションは、イベントを利用して海外メディアを招き、北海道のプロモーションを行うというもの。さっぽろ雪まつりで天壇公園の祈念殿を作り、中国中央電視台などを招くといったことをしている。

 海外メディアの招聘は、海外の視点で取材してもらうという点にメリットはあるが、地元からの取材要望と取材で着目される内容に温度差があることも多い。地元と海外メディアの双方が納得できるプランニングが必要だと感じている。この事業は費用面で行政の補助金に頼る部分が大きいが、今後は地元の企業に参加してもらうなどして、北海道というブランドを生かした持続性のあるものに育てていきたい。

2.局間での交流を通じて関係を深め、収益につながる動きも

前川佳之:

 福井テレビでは、韓国の春川文化放送、中国の杭州文化広播電視集団と3局でトライアングル友好協約を結び、20年以上の交流を行ってきている。1995年からは年1本のペースで共同製作番組を作っており、当初は番組の素材を送り合うだけのものだったが、1999年には通訳を入れての衛星生放送による3元中継にも挑戦した。2005年からは年ごとにテーマを決め、福井から杭州へ、杭州から春川へ、春川は福井へとスタッフを送り、それぞれの国の文化を取材したお正月番組「ぐるっとアジア」という番組を放送している。

 共同製作は、やりがいのある非常に楽しいプロジェクトだ。人的交流はもちろんだが、作られた番組を通してスタッフの間でも互いの国に対する新しい発見が得られている。しかし、共同製作力を高める必要性や、視聴者への成果還元、地域経済活動との連動の模索など課題も多く、解決に向けて他の2局と共に考えていく必要がある。

 現在、中国との共同製作で中国向けのアニメ作品を作っている。これまでの共同製作では追求できなかった、収益面でのメリットを産む動きだと期待している。

3.共同製作では局同士の連携力や制作の意義も問われる

正木伸一郎:

 テレビ西日本は、韓国の釜山放送と中国の大連電視台と友好関係にあり、これまで釜山とは6本、大連とは2本の番組の共同製作を行ってきた。2005年からは3国の共同製作で特別番組を3年連続で放送したが、これに関しては成功を収めたとはいいにくいのが実情である。2005年の共同製作に私は参加していなかったが、多くの問題があったようだ。韓国はギリギリになってから動き出す、中国は途中までスムーズに作っていたと思ったら突然ドタキャンをするなど、局ごとの連携が取れていなかった。中国のディレクターと韓国のディレクターが対立する場面もあり、日本が間に入る形で必要以上に苦労したという。3回目となる2007年は共同製作に着手したものの、空中分解のようになり、各局がそれぞれ番組を制作してネタだけを共有するという形になった。

 共同製作番組の内容に関しても、ローカル局の視聴者がどれほど中国、韓国の情報を求めているのかという問題がある。例えば、釜山と福岡では日常的に人の行き来があり、情報に鮮度が求められるが、制作から放送までの期間が少し開くと福岡の視聴者にとって意味がなくなってしまう。視聴者が得るメリットや、3局が共同で番組を製作する意義をどこに見出すか。考えなければならない課題は多い。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum 2011
会場
六本木ヒルズ49Fカンファレンスルーム(港区六本木)
開催日
2011/10/28
主催
株式会社ディー・エル・イー