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イベントレポート:ワーキング・ウィズ・ジャパン ~世界の映画にとっての"日本"とは?
概説
 エンタテインメント産業の中心だった映画が世界不況の影響を受け続けている中、リスクヘッジと市場の拡大を実現する国際共同製作へのニーズが高まっている。この分野において世界有数の市場である日本への期待はまだまだ高い。"日本"を映画で扱うことについて、国際共同製作の第一人者らが語った。
内容

登壇者

ジェレミー・トーマス/Jeremy Thomas

プロデューサー

アミール・ナデリ/Amir Naderi

脚本家、監督

モデレーター

マイク・グッドリッジ/Mike Goodridge

スクリーンインターナショナル誌エディター

1.海外から見た日本の文化

ジェレミー・トーマス:

 日本人は家族をとても大切にし、自然を愛している。しかし、その一方で暴力を受け入れる辛辣さも持ち合わせた、矛盾を含む人々であると思っている。これは、過去の日本映画からも見て取れることだ。日本はかつて他国の侵略に遭い文化に影響を受けつつも、昔ながらの雰囲気を併せ持つ、あまり例を見ない国だと思う。例えば、私はパリの街並みを歩いていても、過去の名作映画から漂う当時の雰囲気を感じない。しかし、日本の鎌倉を歩いていると、そこが日本であるということを強く実感できるのだ。

アミール・ナデリ:

 多様な文化を持つアメリカでは、それ故に外国人でもすぐ自分の居場所を見つけられる。しかし、確立したひとつの文化を持つ日本では、そう簡単にはいかない。私は日本文化の魅力にとりつかれたひとりであるが、外国人がそれになじむのはとても難しいことだと思う。

 日本との共同製作で私が印象深かったのは、日本人は利益よりも信頼を重視するということだ。個人主義のアメリカでは誰もがナンバー1になりたがるが、日本ではチームプレイを重視し、そこにおける信頼こそを何よりも大切にしている。私はそれをとても素晴らしく思い、単なるロケ地としてではなく、"日本"そのものを映画にしたいと考えた。"観光客"が作った浅い映画にはしたくなかったのだ。

2.共同製作に求められる文化の理解

ジェレミー・トーマス:

 他国との共同製作に際していちばん大切なのは、異なる文化に対する理解だ。それまで自分がやってきたことのすべてが正しいわけではないことを受け入れ、自分が訪問者であるという意識が必要である。自分が"外国人"であることを忘れず、理解と辛抱強さ、そして寛容さを持っていなくてはならない。

 幸いなことに私は大島渚監督と出会い、共に仕事をすることで日本との文化交流ができた。彼と最初に出会ったのは1978年のカンヌ国際映画祭だったが、当時の彼は英語を話せなかった。しかし、のちに彼は英語だけでなくフランス語までマスターし、フランスでも映画を製作した。文化の理解に対する第一歩として、その国の言葉を覚えることはとても素晴らしいと思う。 残念ながら私は日本語をマスターできなかったため、日本での仕事をサポートしてくれる人間が必要だった。しかし、それは単なる通訳ではなく、異なる文化を解釈して自分に教えてくれる友人のように信頼できる人物だ。海外で仕事をしようと思ったら、そういう人物は欠かせないだろう。

3.日本に必要なのはグローバルスタンダード

ジェレミー・トーマス:

 私は、今後も日本の映画監督が世界を手にする日が来ることを信じている。しかし、まだまだ日本映画は世界で受け入れられ難いという現実は、問題点として意識しておかなくてはならない。独自の文化はもちろん大切だが、そのうえで国際標準を知る人間が世界市場においては必要なのだ。

アミール・ナデリ:

 日本人はとても真面目で、映画の脚本をきちんと覚えてきてくれることに何よりも驚く。しかし、撮影中に変更点が出ると混乱してしまう面が多々見受けられるため、臨機応変さが求められるだろう。ただし、北野武監督は臨機応変を体現したような人物で、私のほうが面食らうほどであった。日本の映画は一部を除いて誰が撮影しても同じようなものが多く、"自分"の作品をつくっている監督が少ない。賛否両論の製作委員会制の弊害もあるだろうが、それでは世界的には通用しないだろう。ただし、変わろうとしているのは伝わってくるし、期待も寄せている。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum 2011
会場
六本木ヒルズ49Fオーディトリアム(港区六本木)
開催日
2011/10/23
主催
公益財団法人ユニジャパン