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イベントレポート:成功する地域コンテンツ産業育成のポイント
概説
 28日にはUEFのプログラムのひとつとして、セミナー「成功する地域コンテンツ産業育成のポイント」が行われた。北海道、沖縄、福岡のコンテンツ産業育成の鍵となる人物をゲストに迎え、各地方の持ち味を生かしたコンテンツ産業の創造などについて、クロストーク形式で語られた。
内容

登壇者

井上俊彦/Toshihiko Inoue

一般社団法人札幌・北海道コンテンツ戦略機構 理事長

杉浦幹男/Mikio Sugiura

財団法人沖縄県産業振興公社 産業振興部 ハンズオンマネージャー

澤 卓志/Takashi Sawa

福岡コンテンツ産業振興会議

モデレーター

藤井 雅俊/Masatoshi Fujii

Creative Market Tokyo 2011 審査員長

1.地域財産の特性と差別化

井上俊彦:

 私の組織はフィルム・コミッションだが、コンテンツ産業と観光産業の橋渡しが自分たちの立ち位置であると考え、映画の撮影における直接的な支援は行っていない。撮影場所の誘致に関しては、現地の旅行会社で上映会をはじめ、タイアップイベントを行ったり誘客を図ったりして、映画の中に地元のブランドを登場させ、物販を提案したりする。市場分析に基づいてコンテンツを創造し、投資家にリターンするのが私の仕事だと思っている。ロケ地の誘致だけで終わってしまっては意味がない。

 また海外の人々は、どうしても東京を基準に日本を語る傾向がある。東京とは違うアプローチ、そして東京とは違う市場を常に意識し、北海道ならではの地域財産を生かして差別化を図りたい。

杉浦幹男:

 沖縄県は離島なので、立地優位性がない。そのため、立地条件があまり関係ないデジタルコンテンツ産業に期待を寄せており、県内のコンテンツ産業の振興を目的に、行政の出資で総額5億円のファンドを開始した。これは、沖縄県の会社が中核となるか、沖縄県のプロデューサーや監督を起用、もしくは沖縄県の人材育成に寄与するのなら、映画やゲーム、演劇といったコンテンツに投資を行うものである。

 しかし、そこから生まれたコンテンツが成功しても、そこで完結してしまったり知的財産が県外へ流出したりしてしまっては意味がない。そのコンテンツが観光振興や文化振興に役立つのか、または人材の育成や人材そのものを沖縄県に残せるのか、ということも考えていかなければならないと思っている。

 また、沖縄のイメージである、青い海、白い砂浜といったもの以外のコンテンツをどう扱うかも課題だ。今回のファンドの目的は産業振興であるため、沖縄発の産業をつくるのか、それとも沖縄の地域そのものをアピールするのかは、ターゲットとケースによって使い分けていく必要があるだろう。

澤 卓志:

 福岡県は日本のソフトウェア産業において第5位の業績を誇り、コンテンツ業界におけるポテンシャルは高い。また、毎年約7000人ものクリエイターの卵が産まれ、社会人として巣立っていく。我々は人そのものが地域財産だと考え、人を地域に根づかせて企業を強くしていく、という考え方で産業振興を行っている。しかし、プロデューサー不足は否めず、オリジナルコンテンツがまだまだ少ないのが現状だ。

 昨年の12月に、博多駅から歩いて5分ほどのところに「福岡県 Ruby・コンテンツ産業振興センター」を設立した。これは、福岡県が取り組む国産プログラミング言語「Ruby」によるソフトウェア産業の育成やコンテンツ産業振興のための施設である。インキュベーション施設には約12社のベンチャー企業に入居いただき、コミュニティ活動ができるフロアも完備。人材育成やベンチャー支援、そして交流や連携などを、専任のビジネスコーディネーターがサポートする取り組みを行っている。福岡県内に点在していたコミュニティ活動が集結し、コンテンツ関連の各種セミナーもここで行う流れが生まれてきた。

 また、企業の誘致も積極的に行っており、来年に開催される「福岡アジアコンテンツマーケット2012」では県内の企業のみならず、福岡からアジアに向けて進出を考えている県外の企業にも門戸を開いた。

2.地域をプロデュースする人材の育成

井上俊彦:

 私の経験から言わせてもらえば、コンテンツ産業出身の人よりも他産業の営業出身の人が現状を理解しているケースが多い。そういった人間をコンテンツ産業で育成するのが、地域プロデューサー育成の近道ではないだろうか。

杉浦幹男:

 異なる産業出身の人間が育成対象である点は同意だが、アニメやゲーム、映画などのコンテンツ産業は、少し雑誌を読むだけで理解したと勘違いしやすい。我々が行っているコンテンツファンドでは、何がヒットするかを見極めることが重要なのだが、その目利きの部分はしっかり勉強して初めて身につくものだと思う。真面目さや勤勉さが大事なのはもちろん、それがプロデューサーとしての信頼性にもつながってくるのではないだろうか。

3.地域の特色を生かした海外進出

井上俊彦:

 映画のロケ誘致におけるテーマやキーワードは、ターゲットとなる国によって変える必要があると同時に、そのターゲットも考慮する必要がある。例えば、北海道の大自然はアジアにおいて特別なランドスケープとなりえるが、世界全体を見渡すとそこまで際立った特徴があるわけではない。そのため、現在はアメリカやカナダ、オーストラリアなどよりも、中国や韓国、東南アジアに向けての誘致に力を入れている。

杉浦幹男:

 年々増加している中国のコンテンツ市場が目を引くが、我々はまだ誰も手をつけていないシンガポールやマレーシアを拠点にし、イスラム圏の市場をねらおうと検討中である。イスラム圏は30代以下の人口が約40%と多いため、コンテンツ産業の需要も大きいと考えている。

澤 卓志:

 九州北部に位置する福岡県は"アジアの玄関"と呼ばれ、中国や韓国との距離が近く、すでに人材交流や文化交流などを行っている。今後は香港と上海に事務所を構え、中国に向けてイチゴなどの特産物の販売も行っていきたいと考えている。また、来年開催予定の「福岡アジアコンテンツマーケット2012」では、中国や韓国をはじめ、アジア各国からの来日も見込まれている。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum 2011
会場
六本木ヒルズ40Fセミナースペース(港区六本木)
開催日
2011/10/28
主催
Creative Market Tokyo 2011