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イベントレポート:マンガ・アニメビジネス最前線 ~異業種との新たな市場創造~
概説
 海外からも高い評価と注目を集める日本のマンガとアニメだが、メディア環境や生活者のライフスタイルの変化などに伴い、国内では新たな市場創造を模索すべく次のステージに向かっている。集英社から年末に創刊されるマンガ雑誌「最強ジャンプ」編集長兼「Vジャンプ」編集長の伊能昭夫氏が、自社のマンガ・アニメビジネスについて語った。
内容

登壇者

伊能昭夫/Akio Iyoku

株式会社集英社 第3編集部 Vジャンプ編集部 編集長 兼 最強ジャンプ編集部 編集長

モデレーター

竹内宏彰/Hiroaki Takeuchi

株式会社ブルズ・アイ 取締役/京都造形芸術大学・金沢工業大学 客員教授

1.「最強ジャンプ」が開拓する新たな市場

 集英社に低年齢層をターゲットにしたマンガ雑誌がないことは、社内でも以前から課題として挙がっていた。「週刊少年ジャンプ」は読者層が大人から子供まで幅広く、そして「Vジャンプ」は小学校高学年から上の世代をターゲットにしているが、小学校中学年より下をターゲットにした明確な雑誌が存在しない。そこで、「ONE PIECE」や「トリコ」といった、「週刊少年ジャンプ」で低年齢層に人気のマンガのスピンオフを皮切りとして、新たなコンテンツを発信できる雑誌を目指して「最強ジャンプ」を年末に創刊することとなった。

 もちろん、低年齢層向けのマンガ雑誌における小学館の「月刊コロコロコミック」一強という現状を打破したい、という考えもある。また、低年齢層をターゲットにした「最強ジャンプ」が、「週刊少年ジャンプ」や「Vジャンプ」といった次の年齢層へ向けた雑誌の入り口になってほしいという期待もある。

2.読者との接点を大切にする

 集英社では、「週刊少年ジャンプ」「Vジャンプ」「ジャンプスクエア」といった少年誌主催のイベント「ジャンプフェスタ」と、「Vジャンプ」の読者を招待するイベント「Vジャンプフェスタ」を毎年開催している。これは、アンケート結果を重視している「週刊少年ジャンプ」の態勢からもわかるように、何よりも読者を大切にするという考えがあるからだ。

 これらのイベントには、編集者のほぼ全員が参加。読者と直接対峙することで、読者が何を求めているかを知ることができるというねらいもある。また、ゲーム会社や玩具会社からの参加も多く、子供たちがゲームや玩具で遊ぶ様子を目の当たりにすることで、コンテンツが受け入れられていく過程を肌で感じられる、貴重なイベントだと思う。

3.携わる人々の共感がメディアミックス成功の鍵

 読者のために何よりも面白いマンガを、という思いが根底にあり、最初からメディアミックスを念頭に置いているわけではない。近年台頭し始めた電子書籍に関しても、担当部署が異なるということもあるが、電子書籍化を視野に入れた紙面づくりはしていない。まずはマンガをつくり、それをどう生かすかは、あとから考える。

 マンガは作者と編集者がタッグでつくりあげるものであり、両者が共感して切磋琢磨することが面白いマンガを生み出す原動力だと考えている。メディアミックスに関しても、それに携わる人々が互いに共感できるかどうかが大切なのではないだろうか。しかし、共感を生む過程は定型化できるものではないため、我々ジャンプグループに対して敷居の高さを感じている人もいるだろう。我々もそこは反省しており、これからは積極的にパートナーシップを築いていこうと考えている。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum 2011
会場
六本木ヒルズ40Fセミナースペース(港区六本木)
開催日
2011/10/27
主催
Creative Market Tokyo 2011