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イベントレポート:韓国のグローバルファンドと ロケーションインセンティブ制度について
概説
 韓国政府は国際共同製作を活性化させるため、韓国企業が参加する映画、ドラマ、アニメなどの映像作品に対して、2011年中に1千億ウォン(約75億円)規模の助成を予定している。また、韓国映画振興委員会(KOFIC)では、韓国で撮影される海外資本の映像作品に対しても、手厚い支援制度を展開している。これら国を挙げての援助について、具体例を明示しながらその詳細が説明された。
内容

登壇者

掛尾良夫/Yoshio Kakeo

キネマ旬報映画総合研究所 エグゼクティブ・ディレクター

ハン・サンヒ/Han Sanghee

韓国映画振興委員会(KOFIC) International Co-production チームマネージャー

イ・ドンウ/Lee Dongwoo

CJ powercast ゼネラルマネージャー

チョン・ニナ/Jung Nina

Seoul Film Commission シニアマネージャー

1.日韓映画業界の現状と共同制作の背景

掛尾良夫:

 2010年の日本の映画興行収入は2,200億円と世界第二の市場だが、少子高齢化などの問題で今後の発展は期待できない。その点、中国やインドは人口が多く著しい経済成長が見込まれ、今後の可能性が高い東アジアのマーケットであり、文化も緩やかに一体化・融合していくであろう。

 映画産業(製作・配給)という点では、日本と韓国はとてもよく似ている。国同士の距離や制作規模、クオリティからすると韓国は最も近いパートナーであり、共同製作に進むことがふさわしいと考える。 韓国ではグローバルファンドの創設やさまざまな助成金制度が用意され、両国が共同製作をするための体勢が整いつつある。現状では共同製作の成功例はなく、大手映画会社も積極的ではないが、失敗を生かして次に進む共同製作の第二段階に入ったと言える。

2.韓国の国際共同製作支援システム

ハン・サンヒ:

 現在、韓国映画産業は国内需要の低下と輸出の落ち込みを乗り越えるため、持続的な国際共同製作の成長エンジンの創出に注目している。韓国の国際共同製作システムは大きく3つある。 ひとつ目は「グローバル・コンテンツ・ファンド」。2011~2012年に毎年1本ずつ、計2本の作品を選定し、それぞれに1千億ウォン(韓国政府から毎年400億ウォン、民間/外資から600億ウォン)の投資を行う。ファンドの存続期間は7年間で、投資対象は、韓国企業が参加する国際的コンテンツの製作物(映画、TVドラマ、公演など)に対してとなる。

 ふたつ目は「国際共同制作インセンティブ」。製作費が10億ウォン以上の長編実写映画が対象で、韓国スタッフを使うといった条件を満たして、韓国映画として認められる必要がある。審査をクリアすれば、韓国で使われた費用の25%が支援される。

 三つ目は「外国映像物ロケーション支援」で、外国資本による投資が製作費の80%を超える長編映画に対して、韓国国内で使われる費用の25%が支援される。

3.支援事業の初事例『道~白磁の人~』

イ・ドンウ:

 インセンティブ制度の第一号作品となったのが、高橋伴明監督の映画『道~白磁の人~』だ。監督、俳優は日本人ながら、撮影場所やスタッフのほとんどが韓国となっている。撮影のほとんどは、ハプチョンやプアンにあるオープンセット撮影スタジオにて行われ、ポストプロダクションも韓国で行われている。

 インセンティブによる資金援助があることに加え、日本側としては物価の安さや為替の利点で経費が抑えられ、韓国映画界としては雇用創出、技術向上が果たせるというWin-Winの関係だった。そのため『道~白磁の人~』の場合、日本で撮影を行うのに比べて、約半分の費用で完了できた。ただし、仕事の仕方の違いを理解してどう運営するか、また予算をどう分配するかは、両国のスタッフ間で綿密な打ち合わせが必要だろう。

4.韓国のフィルムコミッションのロケーション・サービス

チョン・ニナ:

 韓国には現在10のフィルムコミッションがある。特に首都圏の都市ソウル、キョンギ、インチョンでは、多くの撮影が行われており、各フィルムコミッションによるロケーション情報の提供や、行政機関への許認可といった撮影支援を行なっている。

 ソウル・フィルムコミッションは最も活動的で、人材プロダクション紹介やロケーションFAMツアー、撮影支援などで多数の実績がある。ロケーションや産業データベースを持ち、レンタルオフィスを提供することもできる。 ソウル・フィルムコミッションにおけるインセンティブは、ソウルで使用した費用のうち、最大25%を現金で還元。最大上限は1作品につき1億ウォンだが、5か国以上で公開、あるいはソウルで50%以上を撮影するなど高い宣伝効果が見込める場合、上限は撤廃される。さらに、国際共同製作などの重複したインセンティブを受けることもできる。

 ソウル以外でも、キョンギでは最高20%(限度は1億ウォン)、インチョンでは最高25%(限度は1億ウォン)の製作費支援が受けられる。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum2011
会場
六本木ヒルズ40Fセミナースペース(港区六本木)
開催日
2011/10/26
主催
韓国映画振興委員会(KOFIC)