インフォメーション

イベントレポート:東京国際アニメフェア10周年と日本アニメの海外展開
概説
 日本のアニメーション業界の海外における取り組み、および2011年3月で開催10周年を迎える「東京国際アニメフェア」のこれまでの足跡について語られた。
内容

登壇者

大山秀徳/Hidenori Oyama

東映アニメーション株式会社 常務取締役

鈴木 仁/Hitoshi Suzuki

東京国際アニメフェア実行委員会事務局 チーフプロデューサー

1.日本アニメ業界の現在の取り組み

鈴木 仁:

 東京国際アニメフェアは2002年に「新世紀東京国際アニメフェア21」という名称でスタートした。公式キャラクターを含め、たくさんのキャラクターがここから生まれている。アニメフェア自体は、見本市、ステージイベント、コンペティションという三つの要素で構成されている。毎年3月に東京ビッグサイトで開催されており(※2011年は中止)、アニメのフェスティバルと見本市が合体したような形である。2005年までは東展示棟の2ホールを使っていたが、2006年から3ホールになり、規模が大きくなった。2007年には大きな転機があった。それまでは、事務局として東京都が管理運営を含めたすべてを担っていたが、この年からは日本動画協会が管理運営を直接行うようになった。

大山秀徳:

 東映アニメーションには、劇場、テレビ、DVDなどによる映像作品のほか、版権やイベントの関連事業など、いくつかの部門がある。収入の内訳は国内が81%で、海外は19%となっている。現地に販売会社があれば情報も入りやすいことから、香港、ロサンゼルス、パリの3か所に、100%子会社の販売会社を置いている。東映アニメーションは、自社で製作資金を全額調達し、映像の著作権を持っている。劇場やテレビでの放映権の販売、商品化ライセンスのための版権というふたつが大きな収入源だ。

2.海外で展開していること

大山秀徳:

 世界に出ているアニメ作品の対象は大半が子供ということもあり、主要な言語はもちろん、基本的にはすべての作品を現地の言語に吹き替えている。衛星放送やインターネット配信に対応するには、当然のことながら日本語のままでは無理が出てくるためだ。アニメは実写と比べて陳腐にならないこともあり、世界各国の言語に吹き替えられているのは、これから大いにメリットになっていくだろう。

 東映アニメーションの作品だけでなく、日本のアニメは海外でよく売れている。日本には鳥獣戯画のような伝統的な絵画文化があったことがポイントのひとつだが、マンガの力も日本のアニメに影響を与えていると思われる。筋立てがしっかりしているマンガ原作から更に世界観を広げ、ストーリーラインを作るというノウハウが蓄積されていることが、日本のアニメ制作の特徴だ。 鳥獣戯画や浮世絵からもうかがえるが、二次元の世界で巧みに表現する技法が日本の伝統文化にはあり、キャラクターデザインにこれが生きている。演出についても、少ない予算でもより良いものを作るための創意工夫から、日本独特のアニメテイストが生まれている。これが海外に輸入された時に、大人をも惹きつけた魅力の原点になったといえる。

 海外に販売する際の問題点としては、各国の文化の違い、宗教の違いが挙げられるだろう。日本は、暴力やセックスに対してさほど厳しい規制はないが、国によっては許されないところもある。そのままの形でなるべく見てもらいたいが、やはりその国の事情に合わせざるを得ない。また、「放送の編成の中で何割かは自国のものでなければいけない」といった輸入規制を儲けている国もあるが、これに対しては地道に働きかけていくしかない。日本は完全にオープンな環境にあり、ライバルと競争しなければならなかったため、強い産業として育ったのかもしれない。海外販売を継続させるためには、質の高い作品を作り続け、信頼関係を築いていくことが必要だ。東映アニメーションが、50年間継続して作ってきたことはかなり大きな強みといえる。

3.今後の取り組み

鈴木 仁:

 東京国際アニメフェアの10年の歩みの中で今、大事なポイントに到達していると感じている。アニメフェアの経験や世界各国のアニメを見てきて、改めて気が付いたことがあった。日本には、800年前の鳥獣戯画にも見られるようなマンガの歴史があり、その綿々と続いてきた歴史があったからこそ今のアニメがあるのだ。日本のアニメ産業は、そのほとんどが東京にプロダクションを構えており、いわば東京の地場産業ともいわれるが、地場産業になった背景には、そのようなマンガの歴史があり、その上にアニメの歴史があり、そしてテレビアニメという世界を席巻したコンテンツ産業があるのだ。今後は、このことを海外に伝えていきたいと考えている。

大山秀徳:

 今後の取り組みとして、「三つの"超えて"」をテーマに掲げている。ひとつめは「国境を超えて」である。日本では少子化が進んでいるが、海外には出生率の高い国もあるので、そこに向けてグローバルに販売したい。ふたつめは「メディアを超えて」だ。新しいメディアは次々に出てくるが、これらに迅速に対応していきたい。そして三つめは「世代を超えて」である。子供だけでなく、大人も楽しめる作品を作っていきたいと考えている。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum
会場
政策研究大学院大学 会議室1A-C(東京都港区六本木)
開催日
2010/10/27(水) 17:30 - 19:00
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン