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イベントレポート:中国メディアのニューウェーブ~動画配信やデジタル放送などでの日中コラボレーションの可能性~
概説
 中国の三網融合政策、動画配信、デジタル放送といった最新情報をはじめ、中国テレビ業界のトレンドや、中国における日本コンテンツのあり方について語られた。
内容

登壇者

兪増徳/Zengde Yu

豪徳広告有限公司 総経理、日本貿易振興機構(ジェトロ)

コーディネーター

新山浩康/Hiroyasu Niiyama

SiTV生活時尚チャンネル 上海ロキシー文化伝播有限公司 副総裁

1.インターネット映像配信の伸び率と、テレビのトレンド

兪増徳:

 中国でスタートした新しい政策は中国語で「三網融合」といい、テレビ、電話、インターネットの三つのネットワークを融合したものである。三網融合は中国のふたつの部署で分けて管理しており、テレビは広電総局、電話とインターネットは工業情報化部という部署が管理している。スタート以来、このふたつの部署はどちらがプラットフォームの権利を握るかで争い続けている。現段階では、新しいプラットフォームにおけるコンテンツの審査に関しては、これまでと同様に広電総局が主導権を握ると見られている。

 中国のインターネットのユーザー数は約4億2,000万人である。そのうちブロードバンドユーザー数は約3億4,000万人、携帯電話を使ってインターネットにつなぐ人々は約2億3,300万人と報告されている。この数字は、今後も更に伸びていく見通しである。 普及率を見ると、北京、上海、広東省の都市では50%以上普及しており、伸び率を見ると内陸が著しい。インターネットの利用目的は、音楽、ニュース、検索、チャット、オンラインゲームに続いて、6番目に映像配信となっている。

 インターネット映像配信のみを利用するというユーザーは16%で、その理由として最も多いのは「自分が見たいものをすぐに見られるから」というものだった。テレビで人気番組を見逃した場合は、自分の都合に合わせてインターネットで見ているようだ。 パソコン向けの映像配信サービス市場の規模は2009年では約28億元で、今後も映像配信の収入は主に広告によって伸びていく可能性が高いだろう。

新山浩康:

 中国のテレビ業界には三つの特徴があるひとつめは、ケーブル化比率が非常に高いということが挙げられる。全国平均はまだ4割程度だが、大都市部の北京では80%、上海は100%がケーブル化している。ふたつめは、多チャンネルであることだ。上海は70チャンネル以上見ることができ、そのチャンネルをケーブルテレビが一手に受けて配信しているため、同じプレイヤーで1から50、60...チャンネルというように、ひたすらチャンネルが続く環境になっている。

 三つめの特徴は、政府の規制が非常に厳しいという点だ。すべてのテレビチャンネルが広電総局の傘下になっており、更に地域ごとに分かれている。上海の場合は大半のチャンネルが上海文広新聞伝媒集団の傘下になっている。また、政府は番組を審査しており、特に海外で作られた番組に関しては厳しく審査を行っている。

 中国テレビ業界のトレンドは、やはりデジタル化である。日本と大きく違う点は、まず地域のケーブルテレビがデジタル化されていないとデジタル番組が映らないことだ。簡単にテレビを買い替えられない家庭が多いので、アナログテレビに付けるボックスのようなものが配られており、それを付ければ見られる環境になる。ただし、それがないと、6チャンネルしか見られない環境になってしまう。

 もうひとつのトレンドは、制作と放送の分離政策が推進されていることである。これは電波を出す放送と、コンテンツを作る制作を分けようというものだ。放送に関しては引き続き政府がコントロールし、制作に関しては民間の力をどんどん使って競争を促して、面白いコンテンツができる環境を整えていこうという試みである。

 デジタル化によってチャンネル数が一挙に増え、今までの体制では対応しきれないため、制作放送分離政策を推進している。つまり、このふたつのトレンドは密接に結び付いているのだ。 中国にはたくさんチャンネルがあるため、どうやって見たいチャンネルを選んでいるのかという質問をよく受ける。しかし、そんなに難しい話ではない。チャンネルをジャンルごとに見ていくと、例えば音楽チャンネルなどはふたつしかなく、CCTV-音楽というチャンネルと、無料デジタル専門チャンネルだけである。ジャンルごとであれば、迷うほどの選択肢はない。多いと思われるのは、各地の衛星のせいだろう。

 番組のクリエーティブ的な部分はさて置き、中国のテレビ業界はまだ未成熟な部分がある。例えば、CMが途中で切れることは珍しくなく、チャンネルによって音のバランスが違うので、チャンネルを切り替えると非常に大きな音が出たりする。そういった基本的な部分は、まだまだ改善しなければならないだろう。

 中国では大ヒット番組が出ると、それをまねた番組がどんどん出てくる傾向がある。これは番組に限らない現象であり、何かヒットが出るとそれをまねしたものが出る。ひと昔前にオーディション番組がブームになり、加熱し過ぎたせいで当局の規制が入ってゴールデンタイムでは放映できなくなったことがあった。現在はお見合い番組ブームで、この手の番組ばかりという状況だ。

 また、ほかの傾向としては、オーディション番組やお見合い番組もそうだが、全体的に一般人がメインになっている番組が多い。中国の場合、全国的に知られたタレントは少なく、スケジュール的にもギャラ的にもキャスティングが難しいという事情が関係しているからだろう。海外の人気番組はフォーマットを購入し、タレントや制作陣を上海に招聘して現場で指導にあたらせたりしている。今、中国のいろいろなメディアグループは海外のフォーマットに関心を寄せており、なかでも欧米でヒットしている番組に注目しているが、やがて日本の番組にも関心を示すと思っている。

2.中国での日本のコンテンツのあり方

兪増徳:

 今は中国網絡電視台(CNTV)が日本のコンテンツを取り扱っており、放映している。海外コンテンツに関しては、香港ドラマやハリウッド映画を有料で提供する「激動網」という正規ルートなどで調達している。これらは上海文広新聞伝媒集団が行っているために日本のテレビ局ともつながりがあり、販売窓口と一緒にやりとりしている状況がある。また、広州では香港ドラマ、韓国ドラマ、ハリウッド映画などを入れているが、日本のコンテンツはほとんど見当たらない。

 激動網は日本からのコンテンツを正規ルートで取得しているが、激動網からほかの映像配信サイトや携帯電話などへサブライセンスするスキームが非常に多いため、そのランクの配信をどのようにするか見えないところがある。

 PC向けの放送局系のサイトにおける日本のコンテンツに関しては、今はドラマやドキュメンタリーなどのコンテンツに興味が集まっている。コンテンツの許可には、広電総局の輸入発行許可証が必要になる。例えば、CNTVが欲しているコンテンツであれば、彼らが代行して輸入許可や申請など、必要なものを全部行ってくれることがある。

新山浩康:

 中国における日本のコンテンツビジネスについては、いろいろと厳しい環境ではあるが、チャンネル数も増えており、市場もまだまだ拡大すると考えている。フォーマット自体への関心が高まっているので、追い風が吹き始めていると思う。

 個人的な考えだが、単純なコンテンツではなく、日本が持つクオリティの高いコアなノウハウやアイデアに、中国独特の文化や習慣をかぶせた形がヒットにつながるのではないだろうか。 具体的なビジネスモデルは三つある。ひとつがコンテンツ、またはフォーマットを単純にライセンスしていくもの。ただこれは、輸入審査を通さなければいけないという高いハードルがあり、ライセンス料も安い。中国だから安いというわけではなく、多チャンネルの環境なので、ひとつの番組にお金を掛けられないという事情があるからだ。

 ふたつめは、枠を押さえてスポンサーをつける方法である。しかし、この方法も輸入審査がある上に、チャンネルとの枠の交渉、スポンサーとの営業を同時にやっていかなくてはならないため、実務的には難しいものかもしれない。

 そして三つ目のモデルは、今あるコンテンツを中国向けに再制作する方法だ。これについては、我々も特に力を入れていきたいと思っている。再制作とは、中国の視聴者に向けて分かりやすいように加工することである。我々のような中国内資の会社が加工することで、国産コンテンツと認識されて、面倒な輸入審査は不要となる。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum
会場
政策研究大学院大学 会議室1A-C(東京都港区六本木)
開催日
2010/10/27(水) 14:00 - 15:30
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン