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イベントレポート:放送と流通~DLE×BS11×ビックカメラが仕掛ける新マーケティング
概説
 「鷹の爪」などの人気コンテンツを作り続けてきたDLE。意欲的な番組編成を試みる全国無料のBS11。国内に強力な販売網を持つビックカメラ。コンテンツ、放送、流通という業界を超えた3社がタッグを組む、全く新しい形のマーケティングについて語られた。
内容

登壇者

椎木隆太/Ryuta Shiiki

株式会社ディー・エル・イー 代表取締役

目時剛/Takashi Metoki

日本BS放送株式会社 代表取締役社長

1.新しいことへのチャレンジ

椎木隆太:

 DLEではフラッシュアニメを制作し、そのキャラクターを活用してさまざまなプロモーションやソリューションを行っている。企業のニーズに対し、新しいことをやっているというドローアテンションによる企業価値アップを狙った企画が得意である。

 フラッシュアニメによるキャラクタービジネスは、地方のテレビ局にとって値段感が合致し、キャラクターによっては県外収入が見込めるものだ。静岡で始めた豚のキャラクターが登場するコンテンツ「パンパカパンツ」は、全国視聴率3%の枠で週1回放送するのではなく、地方の視聴率15%の枠で月曜から金曜まで放送して、地方での認知度を100%にしようと考え、展開させた。その結果、静岡で大ヒットとなった。小さいエリアでも100%認知されれば、商品が売れ、キャンペーンを行えるというようなマネタイズができる。テレビで流れている以上はマスメディアであり、そのエリアの人々にとってはお金を払う価値のあるコンテンツになる。

 また、DLEは「トランスフォーマー」や「G.I.ジョー」という有名コンテンツを持つハズブロを株主に持っているが、そうしたつながりを生かした海外展開も行っている。

目時剛:

 BS11の放送が始まったのは2007年。地上波系のBSハイビジョンが10周年を迎え、民間放送を親会社として日本の放送界を引っ張ってきた経緯から、BS11はほかとは違うことをやらなくてはいけないという考えが開局当時からあった。

 当初は「ゆったりじっくりオトナチャンネル」というキャッチフレーズで、長時間編成の番組制作企画に力を入れてきたが、最近では「心に響くBS11」というメッセージを加えた。そのきっかけとなったのは、2010年の正月にDLEのコンテンツを流したことである。魅力的なアイデアに基づくDLEのコンテンツは素晴らしく、心に届くものが重要だと感じた。DLEのコンテンツに込められたメッセージが、今のBS11の編成を考える上での根底となっている。

 基本的に日本のテレビは60分編成であり、CMを入れて盛り上がりも入れるとなると、どこの局のどの番組でも同じ効果音が流れるという状況が起きている。BS11では効果音やテロップは基本的には入れていない。そのままのものを見せていくことが、番組作りの柱となっている。

 新しいチャレンジという意味では、世間に3D対応テレビが出回っていないうちから3D番組を流していた。3Dにはどういうコンテンツが合うのか、どういう撮り方をした方が良いのかという、一定のノウハウは今につながっている。

2.業界を超えたチームでオールジャパンとして挑む

目時剛:

 BS11のさまざまな新しい取り組みにDLEが賛同してくれたことで、一緒にプロモーションを行うようになった。更に、たまたまBS11に70%ほど出資している親会社のビックカメラが加わって、現在の3社の枠組みができたのである。

 ビックカメラは、実に特殊な会社だ。規模の大きい家電量販店はたくさんあるが、ビックカメラは商品説明から修理の対応に至るまで、ホスピタリティがきめ細かい。また、現物が顧客の目の前にあるリアルな情報発信拠点だというところも特徴的である。そのため、顧客のロイヤリティは非常に高く、リピーターも多い。これを生かし、3社で何かできないかと考えたのがきっかけである。出発点は、魅力的なコンテンツになるだろう。精鋭的アイデア集団であるDLEにそれを取り上げてもらい、BS11が露出する。そして、顧客が実際に触ってみたい、買いたいと感じたら、ビックカメラを訪れてもらう。そうした展開が見え始めてきたのが現在の状況だ。

椎木隆太:

 ソリューションをしていく中で出てくるのは、地方から全国展開していきたいというニーズや、海外のブランドが日本で露出したいというニーズである。DLEはプロデューサーであって、メディアを国内で持っているわけではない。このニーズに応えられるテレビ局がBS11であった。編成のフレキシビリティがあることはもちろんだが、親会社がビックカメラであることもポイントだった。露出だけでなく、それを回収するエンジンが付いてくるのは魅力的だ。

 1日当たり約300万人が情報を取りに来て、そのうち30万人程がレジに並んで支払いをするというビックカメラは、ひとつの巨大なメディアといえる。BS11で見られるものすべてを全国38店舗の棚で露出すれば、かなり大きな展開が可能となるのではないだろうか。テレビの露出を全国展開で、しかもトップブランドの家電量販店で展開できることは、地上波でもなかなかない。この構造は日本の財産といっても過言ではないだろう。今回のプロジェクトはまだ発進し始めたばかりだが、2年後、5年後には大きな動きになると期待しているし、これを成功させなければDLEの使命は達成できないだろう。

 今後、3社が協力して世界とのブリッジをどんどん提案していけば、DLEの海外ネットワークや、BS11の力添えで日本での放送を条件にすること、認知度の高いビックカメラでの展開も大きな武器になる。今後は、我々のような業界を超えたチームが世界に対して挑むということが重要になるのではないだろうか。

基本情報
事業名
UNIJAPAN Entertainment Forum
会場
政策研究大学院大学 研究会室4A(東京都港区六本木)
開催日
2010/10/26(火) 11:00 - 12:30
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン