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製作ケーススタディ:カナダ&日本の共同製作
概説
 「カナダ&日本の共同製作」の製作ケーススタディとして、30年以上のプロデュース経験を持ち、200本もの映画を手掛けたRhombus Mediaのニヴ・フィッチマン氏が、自身も携わったカナダ・イタリア・日本の合作である『シルク』の製作状況を紹介した。
内容

登壇者

ニヴ・フィッチマン/Niv Fichman Rhombus Media

プロデューサー

バランスの良い共同製作映画『シルク』

 私はブラジル、メキシコ、オーストラリアをはじめ、これまで多数の国と共同製作を行ってきたが、カナダはイギリスやフランスとの共同製作が多いという印象がある。共同製作は、文化的な意義があればあるほど成立しやすいものだと思っている。

 『シルク』の原作はイタリアの小説で、フランス人の絹の貿易商が日本に来るという話である。なぜ、この作品がカナダで作られることになったかというと、友人であるフランソワ・ジラール監督が『シルク』を制作したいといってきたからであり、当時、ニューラインシネマの社長だった女性からも、「『シルク』の原作に惚れ込んだので映画化したい」という提案があったからだ。 ただし、当時は映画配給会社のミラマックスが権利を持っており、脚本も原作者のアレッサンドロ・バリッコ氏に発注していたようだ。

 たしか2003年だったと思うが、原作権が再び開放されたということで、ジラール監督が原作者のバリッコ氏に連絡し、関係者みんなでローマに飛んで、原作権の取得に奔走した。その結果、イタリアとイギリスの合作だった作品が、急遽イタリアとカナダとの合作に方向転換したわけである。

 合作の場合、ロケ地は内容に即した場所が良いと思っている。原作の主人公は日本に来て魅了されるというストーリーなので、そのフィーリングを出すためには日本で撮らなければならないと考えた。

 共同製作は時として偶然の出来事が続き、たまたま成立することもあったりするが、最終的に『シルク』は、カナダ、イタリア、日本の三国の合作作品として成立することになった。三国の比率に関しては、それぞれ3分の1ずつ出資参加比率を分配する方法を取った。撮影は日本とヨーロッパで半々に分け、仕上げをカナダで行った。

 最初の予算は約2,100万USドルで、それぞれの共同プロデューサーが約420万ドルずつ持ち寄ることになり、ニューラインシネマが約850万ドルを調達した。

 そして、ニューラインシネマが海外配給権を確保し、当時、設立されたばかりのピクチャーハウスという会社が配給を担当した。この会社は各国の配給会社に直接提案できる権利、アウトプットディールを持っていたので、海外セールスも担当した。つまり、この作品にとっては非常に良い状況に持っていくことができたのである。

 このように『シルク』という作品は、非常にバランスの取れた合作だったと思っている。ポストプロダクションがカナダで、作曲家が日本人、編集はイタリア人となかなかのバランスである。文化的にも内容的にも、そして資金面でもうまくいった珍しいケースではないだろうか。

基本情報
事業名
日欧加コプロダクション・ラボ in 京都
会場
京都ロイヤルホテル&スパ 2F「瑞雲」(京都府京都市中京区)
開催日
2011/1/10(月) 11:00 - 12:30
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン/Ateliers du Cinema Europeen/Telefilm Canada