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ケーススタディ:海外セールス
概説
「海外セールス」のケーススタディとして、フランス配給会社Films Distributionのドイツベースの姉妹会社であるFilms Boutiqueの代表取締役ジャン・クリストフ・シモン氏が、セールスエージェントの役割を紹介しながら、映画祭へ出品するタイミングなどについて語った。
内容

登壇者

ジャン・クリストフ・シモン/Jean Christophe Simon Films Boutique 代表取締役 =1.セールスエージェントができること ワールドセールスとは、まず権利を獲得し、世界の国々でメディアセールスを行うことである。セールスの対象は、ノンコマーシャルの文化系や教育系などの施設、劇場、テレビ、DVDなどがあり、広告会社にも行うことがある。また、権利をメディアごとに分離して、それぞれの分野でセールスを行うこともある。基本的にはコミッションベースで動き、セールスの20~35%のフィーが通常である。 私たちは小規模な企画の場合、プロデューサーが用意すべき書類や、それぞれの国で資金を集めるためのアプローチ方法をアドバイスする。また、我々のようなセールスエージェントが共同プロデューサーとして機能する場合、ソフトマネーを引っ張ってくることもある。更に、プリセールスのアドバイスやミニマムギャランティを切ることもある。 我々はフランスとドイツをベースに活動しているので、ふたつの国のそれぞれのアングルから映画製作に関わりたいと思っている。 フランスとドイツは共同製作にフレンドリーだが、システムが異なる。そのため、ポストプロダクションの段階でもサポートが必要な場合があるので、その時点からセールスエージェントとして動き出すこともある。我々はふたつの異なるシステムを使った企画に対して、どのようにサポートできるのか、ということに重点を置いているのだ。 我々のようなセールスエージェントは、作品の配給に掛かる経費をカバーすることもある。マーケットに映画を紹介する費用、すなわち映画祭に出す費用については、3~10万ユーロ程のコストを見ている。 =2.映画祭へ出品するためのタイミングとセレクション では、いったいどの段階で、セールスエージェントにアプローチすればよいのだろうか。日本映画、特にアートフィルムの場合は、早い時期からセールスエージェントが必要だろう。なぜなら、最初の段階で、その企画に国際的な興味がどの程度集まっているかを把握しないといけないからである。また、どの映画祭でプレミアするのかも重要だ。 脚本を持ち込んでさらに資金を募るということも可能だが、マーケットマネーを世界各国から持ってくるのは難しい。国際的にアピールするために、企画マーケットの段階で脚本を持って行くという方法もあるが、企画マーケットを回り過ぎるとかえってマイナスになったりする。1年近くマーケットを回っているような企画は、「まだ買い手がつかないのか」と思われ、セールスエージェントとしても動きが取りにくい。 ヨーロッパのセールスエージェントに任せれば、映画祭の中に埋もれてしまうことはまずない。ここ2~3年、当社が担当した作品は、基本的にAリストの映画祭に出品している。Aリストの映画祭とは、サンダンス、ベルリン、カンヌ、ヴェネツィア、ロカルノ、トロント、サンセバスチャン、アメリカン・フィルム・マーケット、釜山のことである。 ワールドプレミアは1回しかないので、ベストのタイミングでベストの映画祭を選ぶことが効果的だ。モントリオール世界映画祭の開催時期は、トロント国際映画祭の直前である。よくあるケースだが、モントリオール世界映画祭から招待を受け、実際に上映までした作品が、トロント国際映画祭に落ちた映画だとマイナスなイメージに思われてしまうことがある。どんなに素晴らしい作品だとしても、トロント国際映画祭に落ちていたら配給会社は信用してくれない。こうなってしまったら、セールスエージェントとしてできることは何もない場合がほとんどだ。しかし、初めからセールスエージェントが付いていれば、映画祭のセレクションを管理し、アドバイスすることができる。 特に日本映画の場合、映画祭戦略が非常に重要である。ロカルノ国際映画祭なのか、ヴェネツィア国際映画祭なのか、どの映画祭に出すかの選択肢はさまざまだ。作品によっては大きな仕掛けが必要だったり、小さな映画祭での戦略的な仕掛けが必要だったりする。 =3.アートフィルムの可能性 各国でのアートフィルムの配給数は1年間で10~12本程度であり、約40%が英語圏の国、約20%がフランス、残りがほかのすべての国の作品になる。つまり、残りは5本程度になり、アジアからは1~2本という計算になってしまう。勢いのある中国映画や韓国映画と同じアジアのくくりにある日本は、現在、苦しい状況にあるかもしれない。 しかし、悲観ばかりしていてはいけない。配給会社にはそれぞれの色があるので、時には未知のマーケットを開拓できるかもしれない。ヨーロッパでアジア映画を扱っている会社は、必ずしも劇場に配給するだけでなく、テレビ、DVD、ビデオ・オン・デマンドなどでビジネスを成り立たせているところもある。 また、作り手がアートフィルムとして作っても、マーケットがコマーシャルな作品であると認識した時、ヒット作に転じることもある。
基本情報
事業名
日欧加コプロダクション・ラボ in 京都
会場
京都ロイヤルホテル&スパ 2F「麗峰」(京都府京都市中京区)
開催日
2011/1/9(日) 9:45 - 10:45
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン/Ateliers du Cinema Europeen/Telefilm Canada