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イベントレポート:ヨーロッパでの資金調達
概説
 Ateliers du Cinema Europeenのファイナンシャルディレクターであり、ヘッド・オブ・トレーニングのローナン・ジレ氏が、「ヨーロッパでの資金調達」をテーマに登壇。ヨーロッパ諸国におけるソフトマネーの仕組みや、有効な使い方について紹介した。
内容

登壇者

ローナン・ジレ/Ronan Girre

Ateliers du Cinema Europeen ファイナンシャルディレクター兼ヘッド・オブ・トレーニング

1.ヨーロッパでソフトマネーを有効に使うために

 共同製作を望んでいる日本のプロデューサーがヨーロッパの企画マーケットに行く時、まず明確にしておくべきなのは、撮影する国を決めることである。漠然とヨーロッパというのではなく、パリやベルリンといったように都市をはっきり想定しておくべきだ。また、撮影が許可されない場合もあるので、次案のプランも用意しておくとよいだろう。

 製作においては、それぞれの国で経費がどれくらい必要になるかを把握しておくことが重要だ。共同プロデューサーとなるパートナーの国のマーケットをリサーチした上で、資金をどのように使うかをあらかじめ考えておく必要がある。

 基本的にヨーロッパでは、資金提供者をどこでも探すことができる。アルバニア、マケドニアなどにもフィルムファンドがある。一定の金額が提供されるわけではないが、日本のインディペンデント映画の企画で予算が15万ユーロくらいの場合は、資金提供者を探すことが可能だ。

 ヨーロッパでいうソフトマネーとは、基本的には地域や国など、いろいろな共同体から出資される助成金のことである。地域によっては日本のプロデューサーというだけでソフトマネーをもらえるが、やはりその土地のパートナーと組んだ方が、ルールや規制などのアドバイスがもらえて有利だろう。ヨーロッパでは経費の10~20%がソフトマネーとして与えられる可能性がある。

 また、共同製作の場合は、パートナーの国のマーケットがどういった状況なのかを知るべきである。恐らく相手の国で、「経費を使わなくてはならない」という条件が付いてくるはずだ。 企画マーケットへ行き、パートナーになり得る共同プロデューサーに「興味がある」といわれたら、どのような条件で資金を流してくれるかを見極めなくてはならない。また、資金を持ってくるといったパートナーが、どのようにリクープするのかも確認したい。

2.それぞれの国におけるソフトマネーの仕組み

 ソフトマネーは大きく三つに分けられる。

  1. プレゼント(=全く返さなくてもよい資金) これが本来のソフトマネーという意味だが、実際にはほとんどがセミ・ソフトマネーであり、何らかの形で返さなければいけない。
  2. 投資と考えられるソフトマネー
  3. さまざまな地域のソフトマネー

 例えばパリで撮影することになり、フランスのソフトマネーを受けたとする。それはロケ地で使わなければならないお金であり、ロケ地で使えば返す必要はない。

 スウェーデンにはヨーテボリファンド、アイルランドにはアイリッシュフィルムファンドなどがある。スウェーデンは、収益の何パーセントかを返すという条件でソフトマネーが支払われる。アイルランドも収益があった場合、低いパーセンテージではあるが返さなくてはならない。

 パートナーが資金を用意したら、それがどこからきたのか、どのように返済しなければならないかも理解したい。また、どのような方法で資金を集めてくるかも知ってほしい。

3.リサーチすることでソフトマネーを有効に活用する

 ヨーロッパの国では、ポイントシステムによって多様なソフトマネーの提供が行われている。ポイントシステムとは、さまざまな規則を逃れてソフトマネーを得るために設けられたものである。例えば、日本映画をフランスとの合作映画、あるいはフランス映画のように見せ、フランスからソフトマネーを得るというものだ。

 ただしイギリスには、例外的な条例がある。俳優のサラリーをポンドで支払うと、その20%が税制優遇として返ってくる。日本人の俳優でも同様で、経費と見なされて返ってくる可能性がある。また、チェコ、スペイン、マケドニアにも税制優遇がある。なお、イタリアでは2011年6月末で税制優遇が終わってしまう。

 ドイツは共同制作に対して好意的な国なので、オーストリアとフランスが絡んでのEU2か国などによる共同プロデュースのケースが認められる。日本が4か国目のパートナーになる場合の資金調達は30%まで可能である。その場合、企画をコントロールしないと日本映画ではなくなることがあるので注意したい。

 結論的にはヨーロッパで共同プロデューサーを探す場合、実際に使う経費の20%までなら資金調達できる。それ以上となると、さまざまな調整をしなくてはならない。しかも、どれくらいの経費をその国で使うかを考慮しないと、日本映画ではなくなってしまう可能性がある。 このようにソフトマネーを探す場合は、リサーチを怠らないように心掛けたい。

基本情報
事業名
日欧加コプロダクション・ラボ in 京都
会場
京都ロイヤルホテル&スパ 2F「麗峰」(京都府京都市中京区)
開催日
2011/1/9(日) 9:00 - 9:45
主催
経済産業省/公益財団法人ユニジャパン/Ateliers du Cinema Europeen/Telefilm Canada