留学

Columbia University in the City of New York

(更新日: 2016/12/01)

学部名: School of the Arts

プログラム名: Creative Producing

Columbiaとは

世界最多のノーベル賞受賞者を輩出した研究大学

 1754年、ニューヨークにてColumbiaは創立された。12以上の大学院およびプロフェッショナル・スクールを持ち、5800名以上の学部生がColumbia CollegeおよびThe Fu Foundation School of Engineering and Applied Scienceで学んでいる。コア・カリキュラムは評判が高く、文学、哲学、科学、美術、歴史、音楽の分野で全学部生に共通の教養を与えている。教員との緊密な授業を可能にするため、クラスの人数は約24名を上限としている。

 ノーベル賞受賞者を多数輩出しており、世界中から多くの研究者、留学生が集まる研究大学としても知られている。著名な卒業生にはBarack Obama、Isaac Asimov、Madeleine Albright、Langston Hughes、Jack Kerouacなどがおり、その他あらゆる職業で卒業生が活躍している。

 本部はマンハッタンのモーニングサイド・ハイツ地区に位置し、究極のクラスルームともいえるニューヨーク市全域へのアクセスが容易なだけでなく、書店やカフェ、公園が並ぶ住宅街の只中にある伝統的なキャンパス内での4年に及ぶ寄宿生活も保障されている。学生は50の州と90の外国から集まり、学部生の半数以上は有色人種である。500以上の学生組織(うち31はアイビー・リーグ1部の体育会)が活動しており、何十もの地域社会奉仕組織、パフォーマンス・グループ、政治サークル、出版サークルなどが存在している。

多様性へのこだわりが生み出す多彩な学資援助

 Columbiaはニーズに応じてさまざまな学資援助を提供しており、1年次から貸与ではなく贈与の形で援助する。世帯年収が6万ドル未満で資産状況が平均的な家庭は、学費、部屋代、入寮費およびその他の諸費用を収入または資産から賄わなくてもよく、世帯年収が6万~10万ドルで資産状況が平均的な家庭は支払額が大幅に減額される。留学や研究、インターンシップ、社会奉仕などを望む学生には追加学資の請願機会を与えたり、学費を免除したり、夏季の就業を強制したりしないなどの措置を与えている。同校は昔から多様性へのこだわりをモットーとしており、「学生の教育上の夢を実現するうえで学費が障害になってはならない」という信念を貫いている。

School of the Artsとは

知性を尊ぶ校風とチャレンジ精神を重んじる伝統

 School of the Artsは革新的な専門職大学院であり、アイビー・リーグならではの知性を尊ぶ校風と、世界有数の文化都市であるニューヨーク市という立地から受ける刺激から生まれるチャレンジ精神を大切にする伝統がある。このフィルムスクールではアート制作の研究と実践が行われているが、その内容は常に進化を続けている。

 MFA映画専攻プログラムのCreative Producing(クリエイティブ・プロデューシング)とScreenwriting / Directing(脚本執筆/監督)は、一般的なフィルムスクールが2年教育であることに対し3年教育となっており、より時間を掛けて基礎知識から教育を行い、実際の製作作品をポートフォリオとして卒業することを目指している。映画理論や歴史、脚本、ビジネス、監督術などを総合的に学ぶことによって、自分の専門とする分野以外も理解し、幅広い視野を持つ映画製作者の育成が目的だ。そのため、1年目は全員が同じ授業を受け、さまざまな専攻の人間と交流を深める。それによって優れたアイデアを促し、将来に有効な人間関係を構築できるのである。

 MFA映画専攻プログラムでは、その道の第一人者として地位を確立したアーティストが、プロの道を歩み始めたアーティストたちを指導する。この師弟関係はかけがえのないものだ。Columbiaでは、映画製作を物語性と視覚芸術両面の伝統を持つクリエイティブな営みとして捉えると同時に、ひとつの技術でありビジネスであると考えている。学生は豊富な現場経験を得られるクリエイティブな環境で教員からマンツーマンの指導を受け、才能ある学友たちに支えられつつ力を伸ばしていく。同校は学生に寄せる厚い信頼を強みとしており、学生が自分のビジョンや物語、そして内なる声についての思索を深め、洗練させるための後押しをする。

 ColumbiaはNew York Universityと並び、授業料が高額なことでも知られている。入学に際して映像作品の提出は求められないが、映画、テレビ番組、CMなどの製作経験があり、「プロデュースとは何か」を理解した学生を求めている。

起業家精神を養い、世に羽ばたいた卒業生

 西海岸のフィルムスクールカリキュラムはハリウッドのスタジオを中心に構成されているが、東海岸は起業家精神の育成を重視している。ロサンゼルスに比べニューヨークはよりヨーロッパに近いため、Columbia は国境を越えての職探しを学生に促す。また、学生が作りたがる作品は主にアートフィルムであるため、西海岸のフィルムスクールのようにスタジオのファイナンシングを得ることよりも、インディペンデント映画の世界で主流となるプライベート・ファイナンシングの取得方法を教えている。

 なお、School of the Artsの卒業生には、『ハート・ロッカー』および『ゼロ・ダーク・サーティ』の監督・製作を行なったKathryn Bigelow(1981年卒)、『しあわせの法則』および『Tキッズ・オールライト』の監督・脚本を手掛けたLisa Cholodenko(1997年卒)、『17歳のカルテ』の監督・脚本および『ウルヴァリン: X-MEN ZERO』の監督を務めたJames Mangold(1999年卒)などがいる。

School of the Artsの教員陣

 サンダンス映画祭からヴェネツィア・ビエンナーレまで、そして『The New York Times Book Review』の表紙からブロードウェイまで、アメリカのトップクラスの地域劇場からヨーロッパやアジアの著名映画祭・演劇祭まで、School of the Artsの教員や卒業生の成功は年を追うごとに目立つようになり、評判も高まってきた。

 教員には、ニューヨークとハリウッドで活躍するベテランと新顔が集まっている。彼らはそれぞれの分野で最高位の表彰を受けており、その中にはアカデミー賞、トニー賞、マッカーサー・フェローシップ、グッゲンハイム・フェローシップ、ピューリッツァー賞、全米図書賞、ノーベル文学賞なども含まれている。

 学生の製作物は、その技術的な完成度や視覚的な斬新さ、そして卓越した語り口ゆえに賞や表彰を受けている。卒業生はプロデュース、脚本、監督といった立場でインディペンデント映画のスタンダードとなり、ハリウッドの映画作りに革新をもたらす作品を生み出している。

 School of the Artsの主な教員は、以下の通りである。

Ira Deutchman

主任教授(Professor and Chair)。1975年から映画の製作、マーケティングおよび配給を手掛けるようになり、これまで150本以上の作品に関わっている。その中には、歴代最高レベルの成績を残したインディペンデント映画も含まれる。彼はCinecomの生みの親のひとりであり、後にFine Line Featuresも設立した。この2社はそれぞれまったくのゼロから立ち上げられ、インディペンデント映画ビジネスを定義づける存在となった。

Tom Kalin

教授。実験的な短編から劇場用のストーリー映画まで、彼の作品は賞に輝き、高い評価を獲得し、世界中で上映されてきた。彼の映画やビデオ作品はホイットニー美術館、ポンピドゥー・センター、ニューヨーク近代美術館などの所蔵となっている。彼の劇場用作品第1号である『Swoon』はベルリン国際映画祭でカリガリ賞、ストックホルム国際映画祭で国際映画批評家連盟賞、サンダンス映画祭で撮影賞、IFPゴッサムアワードではオープンパーム賞を受賞した。

Maureen Ryan

助教授。インディペンデント・プロデューサーとして、劇場用ドキュメンタリー映画とストーリー映画の両方を手掛けている。彼女は、1974年にワールド・トレード・センターのタワーの間にワイヤーを張って綱渡りをしたPhilippe Petitが題材の『マン・オン・ワイヤー』で2009年アカデミー賞のドキュメンタリー映画賞を獲得した。また、『プロジェクト・ニム』は2011年のサンダンス映画祭でプレミア上映され、外国ドキュメンタリー作品監督賞を獲得し、アカデミー賞の最終選考に残った。

James Schamus

教授。アカデミー賞へのノミネート経験もある脚本家であり、プロデューサー、映画エグゼクティブである。彼は長年、Ang Leeと共に脚本とプロデュースを行い、『ブロークバック・マウンテン』『グリーン・デスティニー』『アイス・ストーム』『ウェディング・バンケット』『ハルク』『ラスト、コーション』など11本の作品を生み出した。

[MFA]Creative Producing

基本情報

所在地 アメリカ ニューヨーク州 ニューヨーク
URL http://arts.columbia.edu/film/creative-producing
修業期間 3年
定員 約24名
出願締切 12月3日
結果発表 3月〜4月
出願に
必要な書類
  • 学部時の成績証明
  • TOEFLスコア(iBT100点以上)
  • 推薦状(3通)
  • 履歴書
  • 自己紹介エッセイ
  • 長編映画のトリートメント(2本)
  • 映画シナリオ

※面接は招待制

出願費用 110ドル
(紙で提出の場合は175ドル)
授業料および
諸経費の目安
1・2年目:約4万9500ドル
3年目:約4000ドル
合 計 :約10万3000ドル

監督や脚本執筆を学び、視野を広げる3年制のプログラム

 先に述べた通り、MFA映画専攻プログラムのひとつであるCreative Producingは3年制である。企画を支えるクリエイティブ戦力としてのプロデューサーの役割に特化しており、学生はプロデューサーに求められるビジネススキル、クリエイティブ・チーム作りの能力、変化を続けるマーケットへの理解といったものを身につける。東海岸という土地柄、インディペンデント・プロデューサーとしていかに低予算の作品を売り込むかという授業も多い。例えば、いかにして魅力的なトリートメントを書き、いかにスポンサーを得るかといった授業がそれにあたる。ストーリーやアイデアを売り込むためのピッチ、観客層を広げるための方策、広告予算の立て方、マーケティングプランなども深く学ぶ。映画の脚本を渡され、出演者のスケジュールを立てたり、労働法や撮影許可の取り方について学んだりと、実践的な授業も待っている。いずれもハリウッド的なスタジオ映画を目指すのではなく、ニューヨークで撮影するアートフィルムに役立つカリキュラムといえる。

 教員はニューヨークとハリウッドの現役フィルムメイカーで構成されている。彼らは脚本の開発、ファイナンス、実製作、配給、新技術など、映画やテレビのプロデュースに関わる豊富な実践的知識をもたらしてくれる。どちらかというとアートフィルムのプロデューサー比率が高く、ヒッチコック映画の作風変化などアート作品を題材にした授業が多い。

 1年次は、同じMFA映画専攻プログラムであるScreenwriting/Directingの学生と共通のコースを履修する。プロデューサーとして最高の訓練を受けるのであれば、これらをすべて修めることが望ましいという考えからだ。また、これによって、大学院プログラムやその先まで続く友人関係、プロとしての協力関係も生まれ、映画作りには欠かせない相互協力が自然に生まれる環境も育まれる。

 留学生の人数は毎年およそ3割ほどを占めており、特にヨーロッパ、ラテンアメリカ(ブラジル、コロンビア、メキシコ)や中国からの学生が多い。卒業後はニューヨークに残ろうとする者が多いが、そのほとんどが最終的には帰国しているようだ。 学生の傾向としては、ハリウッドの大作よりもアートフィルムを志す者が多い。

Creative Producingの学修課程

 1年次のコースにはプロデュースや監督、脚本執筆、演技指導のワークショップが含まれる。スタジオ・クラスは11名前後の学生で構成され、実践的かつプロセス志向のクリエイティブ作業に重点を置く。

 1学期のハイライトとなるのは、各学生が脚本執筆と監督を行なう3~5分の短編映画の製作である。1年次の最終製作プロジェクトは8~12分の作品で、各学生は同課程の別の学生が執筆したオリジナル脚本を使って監督する。監督と脚本家は春学期を通じて各作品のために共同作業を行い、複数の教員の指導を受けつつ最終的な脚本を仕上げるのだ。これに加え、各学生は自分が監督する作品とは別の作品のプロデューサーを務めなければならない。これらの短編映画は、1年次の後の夏に撮影される。

 2年次の開始時に、完成した映画すべてを全校で批評する。2年次の学生は劇場用映画のプロデュースに集中しつつ、テレビやニューメディアの研究も並行して行うのである。脚本執筆やColumbia Business School、その他School of the Artsまたは大学のいずれかのプログラムを選択科目として履修することもできる。また、卒業までに映画の歴史・理論・批評のコースを少なくともひとつは受講しなければならない。

 最初の2年のうちに必須の60単位を取得する必要があり、3年次は卒業製作年として少なくとも3本(うち1本は卒業製作)の映画製作をこなさなければならない。卒業製作映画は単独でプロデュースすることとなる。また、このほかにも製作会社または配給会社でのインターンシップを終えなければならない。

 卒業製作期間の学生は単位を取得する必要はないが、指導教員と定期的に面会して卒業製作のアイデアを集中的に練ったり、卒業製作準備クラスを受講したり、客員フィルムメイカーとのマスタークラスを受講することになる。マスタークラスでは、プロデューサーのための契約法や劇場用映画の予算立てとスケジューリングといったテーマが扱われる。また、さまざまな世界的フィルムメイカーを招いた短期のマスタークラスも開催される。

 なお、製作にあたっての費用は自己負担である。スクリプトアワードで1位を獲得した場合などには助成金も出るが、それ以外は学生同士で負担するので留意したい。

スタジオ社員、フリーランスなど幅広い人材を育成

 学生はプロデュースした複数の作品をポートフォリオに加え、多くの場合、すぐにでも製作に取り掛かれる開発済みの企画を抱えた状態で卒業する。

 インディペンデント志向の学生が多いため、卒業後はニューヨークでインターンシップやフリーランスとして働きながら自分の企画を温め、映画祭の入賞を目指すケースが多い。在学中に培った人脈を活かし、友人である脚本家や監督の映画をプロデュースをする者もいる。西海岸のフィルムスクールに比べてスタジオ系に弱いが、卒業後に西海岸に渡ってスタジオやテレビの製作会社などに入ることも考えられる。若手プロデューサーの中でも万能かつ先進的な人材を育てると評判が高く、世界最高レベルの総合的プロデュース学科を持つフィルムスクールとしてのColumbiaの立ち位置を確固たるものとしている。

Creative Producingの授業

【1年次カリキュラム】

映画プロデュース:ケース・スタディ(プロデューサー用クラス)
教員名 Michael Hausman
頻度 週1日×1コマ(180分)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 1年次春学期

 この授業は、インディペンデント映画をプロデュースする過程をハンズ・オンで学ぶために設けられた、プロデューサーのためのコースである。プロデューサーとして長年活躍し、数多くの賞を受賞してきたHausman教授が教える。

 授業では、教授がこれまでの経験をもとに、映画をプロデュースする際の心構えやプロセスを講義する。その際には、「アマデウス」や「ブロークバックマウンテン」など、彼がプロデュースした作品の舞台裏(ロケーションスカウトやミーティングなど)を撮影したホームビデオを鑑賞しながら、学生たちはいつか手がけることになるであろう大きなプロダクションに思いを馳せる。

 教授による講義を受けると同時に、この授業では学生たちは1学期間を通して教授をエクゼクティブ・プロデューサーとした短編映画を製作することになる。監督、DP、脚本家、俳優、その他のクルーはオーディション等を通してクラス外からスカウトすることになる。その上で、プロデューシングのクラスメイト全員が「ライティング・セクション(ライターと協働して脚本を仕上げる)」、「カメラ・セクション(DP、ACのスカウト)」、「ロケーション」「プロダクション・マネージメント」等のグループに分けられ、グループごとそれぞれの部門を担当し、お互い協力しながらプリ・プロダクションを進めていく。クラス全員(約25名)が「プロデューサー」として撮影に挑むということになり、グループ内だけでなく、他のグループやクラス外からのクルーと協力し合うことが必要となる。撮影は、4月末または5月上旬にニューヨークにて1〜2日間で行われる。なお、映画製作資金$3,000は教授のポケットマネーから支払われる。

 また、毎回教授の紹介するゲスト・スピーカーが世界中から(直接クラスにやってくる場合とSkypeを通じて話す場合とがある)招かれ、プロデューサーや監督、制作プロダクションの経営者など様々な立場で活躍する業界人たちがそれぞれの経験を語る。これらを通じて、学生たちは自分がどのようなフィルムメーカーになりたいのかを考える機会を得ることになる。

監督Ⅰ

 学生はセリフを用いない演習素材を3本以上と音声入りの演習素材を2本、ビデオで撮影・編集し、映画のストーリーテリングの語法と語り口について考察する。カメラを雄弁な語り手として用い、一貫性があり、文法的に正しく、引き込まれる要素のある映画的なストーリー作りを目指す。カメラ、照明、音声、編集の技術的ワークショップを行いつつ、監督の方法論についての講義も実施する。

脚本執筆Ⅰ

 脚本執筆の入門ワークショップ。学生は学期を通じて複数の短編脚本を執筆し、創作の基本を学ぶ。キャラクター、アクション、コンフリクト、ストーリー構築に始まり、説明するのではなく見せることの大切さなど、さまざまなキーポイントについて考察する。

演技指導Ⅰ

 学生自らが俳優となり、エクササイズやシーンスタディなどのワークショップを体験する。そこで俳優の技術や言語を学び、俳優の言語を用いて演技をつけていく。また、脚本分析、キャスティング、リハーサルなどのプロセスも学習する。

監督の基礎

 映画の文法やテキスト分析、演出、話者としてのカメラ、プレビジュアライゼーション、撮影進行、編集の入門編となる講義を毎週行う。各講義では視覚教材として巨匠の手による作品のほか、学生が1年次を通じて製作することになる短編映画を用いる。学期の後半7週間では、助手(TA)による1時間のセッションが行われ、各自の3~5本の映画製作のプランについて助言をする。教員はトム・ケイリン。

プロデューサーの役割

 プロパティの取得から配給契約に至る劇場用映画のプロデュースの過程について、インディペンデントのクリエイティブ・プロデューサーが解説する。教員はアイラ・ドイッチマン。

ドラマの要素

 劇場用長編映画の脚本執筆の基本を学ぶ講義とディスカッション。テキストや作品を使って劇場用長編映画のストーリーテリングの本質について、また映画がその他のドラマや物語の形態をどのように拡張し、どのように進化したのかを考察する。MFA映画専攻プログラム1年次の基本となる授業であり、学期末までにトリートメントとして執筆する劇場用長編映画のプロットやキャラクター、コンフリクト、テーマなどをいかにして練っていくか、指針を与える。

監督Ⅱ

 別の学生が執筆ワークショップで開発した8~12分の脚本をビデオで撮影・編集する授業。脚本、セット配置、演出、カメラ、絵コンテ、書類申請、キャスティングといった監督の作業を学期中に終わらせ、前記の作業と演技指導クラスの内容を盛り込んだドラマ・ストーリーのシーンを2本以上撮影し、編集する。この共同企画は夏休みの間に行う。

脚本執筆Ⅱ

 「ドラマの要素」で開発したトリートメント、または教員の承認を得た新しいトリートメントをベースに劇場用長編映画の脚本を完成させる。重点が置かれるのは完璧な作品を作ることではなく、原稿を書き上げることである。未完原稿は認められず、学期末までに脚本を完成させなければ落第となる。

演技指導Ⅱ

 学期を通じて本物の俳優を使ったシーン演出を何度か行ない、キャスティングおよび演技指導の基本原則を教わる。

脚本からスクリーンへ

 脚本開発とコラボレーション・プロセスを扱う必修ワークショップ。学生はそれぞれワークショップ開始前にクラスメイトが書いた10分の脚本を選んでおき、年度の終わりにその作品を主要製作物として監督する。このワークショップでは各プロジェクトの脚本担当が監督と密に話し合いを重ね、脚本を推敲していく。ワークショップに参加する学生は自ら脚本を1本担当し、別の学生の脚本を1本監督することになる。これにより、脚本家と監督の共同作業を両面から体験できる。

短編映画のプロデューシング

 夏に製作される8~12分の短編映画の準備を行う。短編ジャンルのラインプロデュースの主要なポイントを考察することになり、脚本分析、予算立て、製作合意書、DPリールの選定、クルーの雇用、ロケハンと機材集め、SAG関連書類、Mayor’s Office of Film, Theatre & Broadcastingによる許可、リリースフォーム、シューティング・レシオ、プロトコルの設定、作品のショットリストとスケジューリングなどが扱われる。学生は業界標準のプロ用ソフトを活用して、自分の製作プロジェクトの脚本分析と予算立てを行う。

編集プロジェクト(8月、8~12分作品のプロダクション後)

 学生が製作した8~12分の作品の編集を通じて、編集のクリエイティブ原理、語り口の原理を考察する。指導教員はプロの編集担当が受け持ち、合計21時間の指導を行う。このうち11時間以上はグループ授業となり、講義やグループでの批評セッションを行なうことになる。残る10時間を批評セッションに費やすか、学生ひとりひとりに均等な時間を割いて個別指導を行うかは、指導教員の裁量に任される。

映画ビジネス

 劇場用映画ビジネス概論として、ハリウッドの大手スタジオから小規模のインディペンデント、自主配給までを扱う。ケーブルやホームビデオなどの付加的マーケットや、それが劇場公開時の成績にどう関わってくるか、そしてボトムラインにどう影響するのかもカバーする。

【1年次選択科目】

撮影技術

 この授業の目標は、撮影機材および撮影用語についての基本的な理解である。専門分野が監督であれプロデューサーであれ脚本家であれ、撮影監督とコミュニケーションを取る際に、関連用語を知っていたり機材(カメラ、レンズ、照明、グリップ等)に触った経験や撮影監督が用いる技術(フィルム、デジタル、色補正等)に関する経験があり、コンポジションやカメラアングル、ムード、カラーなどについて撮影用語を使いつつ撮影監督と話し合うことができれば、より豊かで生産的なやり取りが可能になる。この授業は理論からスタートして、実践へと移行する。実践段階に入ると、学生は自分のプロジェクトのシーンを撮影できる。キャンパスにあるリソース以上の知識を獲得するために、レンタルハウスやポストプロダクション施設を訪問したり、機材やマテリアルのサプライヤーを招いて商品のプレゼンをしてもらうこともある。

【2年次カリキュラム】

脚本執筆・分析(プロデューサー用クラス)
教員名 Jack Lechner
頻度 週1日×1コマ(180分)
期間 通年
必修・選択 必修
配当年次 2年次春学期または秋学期。
(プロデューシング選考のクラスが半分に分けられ、どちらかの学期に割り振られる)

 この授業は、脚本執筆のプロセスをよりよく理解し、脚本を分析する方法を詳細に学ぶために設けられたプロデューサー専用の授業である。プロデューサーとして長年脚本デベロップメントに関わってきたLechner教授が教える。

 授業は以下の流れで行われる。はじめに与えられたリーディング課題について議論や質問、意見交換の時間があり、そのあとテーマにそってディスカッションに重点を置いた講義が行われる。そして最後にケーススタディとして毎回ひとつの映画を、キャラクターやジャンル、ストーリー構成等の観点から分析する、という授業構成になっている。

 講義のテーマは毎回異なり、トリートメントの書き方、脚本家との協働、映画ジャンル、著作権、カバレージの書き方、小説の映画化のケーススタディなど多岐にわたるが、授業を通じて「映画プロデューサーとして脚本・物語をどう扱っていくのか」ということに焦点が当てられている。

 また、この授業で目玉となるのが「脚本の執筆と脚本スワップ」である。1学期間を通じて行われるこの課題では、まずそれぞれの学生が自ら考案した物語の脚本を15~25ページで書く。それをもとに、教授が学生3人からなるチームを組ませ、それぞれが持ち回りで脚本家、プロデューサー(脚本デベロッパー)、共同脚本家としての役割を果たす。プロデューサーは脚本を分析しより良いものにするためのノートを脚本家に与え、脚本家はそれをもとに脚本を修正する。そのあと共同脚本家がさらに脚本を書き直す。最終的には最初に考案したライターに脚本が戻され、さらに2回の書き直しを経て完成となる。映画プロデューサーとして、どのように脚本家と協働していくかを講義と課題の両面から学ぶことが目的である。

 上記で述べた脚本執筆のほかに毎週課題が与えられる。毎週1本授業で詳しく分析する映画の鑑賞やリーディング課題、加えて長編脚本のカバレッジ作成、脚本へのプロデューサーとしてのノート執筆がある。このように「観る・読む・書く」課題が毎週与えられるため、授業としてはやや重いといえる。しかし、まさにクリエイティブとビジネスの両面を学べる授業であるため、学生からの評価が高く、聴講にくる監督・脚本コースの学生も多い。

プロデューシングのケーススタディ

 インディペンデントのクリエイティブ・プロデューサーとして、プロパティの取得から配給契約に至る劇場用映画のプロデュースの流れを考察する。具体的にはアイデアの売り込み、脚本家との共同作業、資金集め、キャスティング、作品のプロダクションなどが含まれる。一連の流れの中で関わることになる主要な役割の人々がゲスト講師となる。

劇場用映画の開発

 劇場用映画開発に関わる各種オプションの考察。具体的にはオプション契約、著作権、代理店との交渉、売り込みのプロセスなどを扱う。教員はアイラ・ドイッチマンほか。

劇場用映画のファイナンス

 映画のファイナンス、プロセスを検証する。大手スタジオのシステムとインディペンデントのファイナンスの両方を取り上げ、エクイティ投資、プリセール、国際共同製作などのテーマを扱い、異なる契約構造が作品にどう影響するかなども考察する。そして、劇場用映画への出資を確保するためのビジネスプランを立案する。

映画のプリプロダクション

 Emir Kusturicaのアメリカ製作作品第1号である『アリゾナ・ドリーム』をケーススタディの題材として使い、プロダクションノートと撮影用脚本といったコンテンツを基に研究する。学生は短い脚本からブレークダウン、プロダクション・ストリップボード、香盤表などを準備し、プリプロダクション・スキルを磨く。Creative Producingの学生は、Screenwriting/Directingが2年次に履修する授業を選択科目として履修してもよい。

【2年次選択科目】

上級編集ワークショップ

 MFA映画専攻プログラムで上級レベルにある学生は、自分のフィルムを編集し、同時に他学生の作品のポストプロダクションに参加できる。このワークショップは、全学生のデイリー試写から始まり、アセンブリの批評会、ファーストエディットの上映、音楽やエフェクトについての議論、ファイナルミックスへと続く。

映画化

 上級執筆コース。執筆課題やワークショップでのディスカッション、講義を通じて映画化について検証し、それを実践する。各学生は映画化する短編小説を選択し、学期を通じて2回映画化する(1回はそのまま映画に置き換え、もう1回は完全に変容させる)。また、小説の映画化に際しての方針を定めるトリートメントを開発し、文書化する。「映画の語り口は散文の語り口とどう違うのか。既存の物語を脚本へと仕立てるときに、どんな転換作業や調節や大胆な策略を用いればいいのか」といった疑問を導き手としてコースを進めていく。

映画ビジネス
テレビビジネス
撮影技法
ドキュメンタリーのプロデューシング
ニューメディアのプロデューシング
卒業製作 ―― キャラクター

 この授業では、ドラマのキャラクターがどのように開発されるかを研究する。キャラクターの表現は映画、テレビ、舞台、小説、ビジュアルアートなど、媒体によってどのように異なるのか。キャラクターを成立させる要素とは何か。物語の中でいかにしてキャラクターの個性を見出すのか。実在と架空の両方のキャラクターを研究し、脚本家がどのように実在の人物をドラマティックな存在にするのかを学ぶ。学生はレポートと創作両方の課題を提出する。

ニューメディアにおけるストーリー戦略

 ニューメディアでは今、どのような物語を作ることができるのか。ニューメディアに通用する物語要素とは何か。インターネットやその他のニューメディアは無限とも思えるクリエイティブな表現方法を提供しているが、これまでに何が成功し、これからどんな物語の種類が成功を収める可能性を持っているのか。ニューメディアならではの特質とは何か。ニューメディアは映画、テレビ、小説といった既存メディアとどのように違うのか。こういった点に加え、閉ざされたストーリーテリングとオープンなストーリーテリングの違い、そしてインタラクティブなストーリーテリングの可能性について考える。学生はプレゼンを行なうことになり、レポートと創作プロジェクトの両方を手掛ける。

メディアを超えたプロデューシング ―― アイデアの物語化

 ここではプロデューサーが最初に下す決断、すなわちプロダクションに掛ける素材の選定と開発について学ぶ。特に、ストーリーを生み出すうえでのプロデューサーの役割、プロデューサーが下敷きとする素材をどのように処理するか、脚本を完成させるまでにプロデューサーがどのような決断を迫られるかといった部分に重点が置かれている。また、映画や演劇、テレビなど、さまざまなドラマ媒体でどのような選択が下されるのかも検討する。プロデューサーが密接にクリエイティブ・プロセスに関わるテレビやその他のプラットフォーム向けのアイデアについても重点的に扱う。

シーンと短編脚本

 執筆ワークショップ。学生は、学期が終わるまでに2~4本の短編脚本を執筆・開発する。これらの脚本の中にはColumbiaでのプロダクションに向いているものもあるが、必ずしもプロダクションに掛ける必要はない。短編の脚本であるため、シーン構築、間とペース配分、対話部分、ターニングポイント、脚本執筆のスタイルなど、細かな技巧について詳細に検討する余裕がある。

映画研究:映画という媒体 ―― 脚本分析

 劇作法、キャラクターとプロットの展開、カメラの使い方、演出、キャスティング、音響、編集、音楽など、スクリーンを使ったストーリーテリングの演劇的・映画的原則を扱う。多様な語りの技術、ストーリーパターン、ドラマの構造、芸術形式、ジャンルなどについての議論を重ねるほか、脚本執筆のエクササイズも実施する。

テレビ向けの執筆 ―― パイロット版

 テレビのパイロット版に向けてのアイデアを出し、学期を通じて開発、執筆、推敲を行う。学期末までにパイロット版の脚本を完成させることを目標とする。

テレビ向けの執筆 ―― スペックスクリプト

 現在放送中のテレビ番組のスペックスクリプトの書き方を学ぶ入門ワークショップ。学生はブレインストーミングでアイデアを出し、骨組みを作り上げ、セリフ入りのシーンを書き上げるという流れを学ぶ。30分のシットコムと1時間分のバラエティを扱う。

ドラマ媒体としてのテレビ

 1時間番組と30分番組、両方のテレビシリーズを題材に、劇的構造やテーマ、キャラクターの開発などについて学ぶ。このような形でテレビを研究することは、その芸術形式のクリエイティブ・プロセスを学ぶことにつながる。テレビは現在、メディアとしての芸術的発展の岐路に立たされている。脚本家、エグゼクティブ・プロデューサーは芸術的自主性を新たに獲得したとはいえ、このメディアは映画や演劇をはじめとする他メディアのアーティスト(脚本家、監督、俳優)を活用するようになっている。テレビでは新たなフォーマット、新たなプロダクション・テクニックも試している。ここでは、個別の脚本家、エグゼクティブ・プロデューサーの仕事ぶりに注目しつつ、高度なコラボレーションが求められるメディアのクリエイティブの現場で、どのような選択がなされているのかを考察する。

Creative Producingの卒業製作に向けての助言

 Creative Producingの学生が卒業製作やインターンシップ条件の履行に向けた準備を行なう様子を教員が見守る。「卒業製作」と「インターンシップ」の2部に分かれている。教員はアイラ・ドイッチマン。「卒業製作」は教員と個別に面談を行い、卒業製作に着手する前に必要な条件をすべて満たしているか、卒業製作テーマが重点研究領域のガイドラインの枠内に収まっているかを確認する。また、院生全員による定期的な会合がもたれ、ここでは将来的な学位志望者も見学し、問題やその解決法について耳にする。卒業製作提出後、各学生はグループを前に卒業製作に関する口頭プレゼンテーションを行い、それを終えてから卒業となる。「インターンシップ」は製作会社の中で働き、業界の現状を肌で知る。学生は関心のある分野や技術に応じて開発会社や製作会社にマッチングされ、アルバイトとして学期を通じて働く。学生の仕事ぶりは教員に毎週提出されるレポートを通してモニタリングされ、学期末にはインターンシップの価値を統括する期末レポートも提出される。インターンシップに関する情報は上記の通り、定期開催されるクラスミーティングで共有される。