留学

American Film Institute Conservatory

(更新日: 2016/12/14)

プログラム名: Producing


 

基本情報

所在地 アメリカ カリフォルニア州 ロサンゼルス
URL http://www.afi.com/Conservatory/
修業期間 2年
定員 約28名
出願締切 12月1日
※Producingは最適な人材が見つかるまで募集を続ける場合もある
結果発表 3月1日または書類受け取りから12週間後
出願に
必要な書類
  • 成績証明書
  • TOEFLスコア(iBT100点以上)
  • 推薦状(2~4通)
  • 履歴書
  • ナラティブ・ステートメント(志望動機)
  • 申請同意書
  • 補足情報(トリートメントまたは脚本、リール、製作作品2~3本)

※面接は招待制

出願費用 75ドル
授業料および
諸経費の目安
概算で約10万USD

AFIとは

映画芸術に関する資産の保護と前進を目的とした芸術組織

 AFIは、フィルムメイカーの育成と失われつつあるアメリカの映画文化遺産の保護を目的として、1967年に設立された国立芸術組織である。AFI設立法に署名する際に、当時の大統領であるLyndon B. Johnsonは、「映画産業を牽引するアーティストと傑出した教育者、そして20世紀を代表する芸術形態を生涯に渡り探求しようと志す若き男女を集め、AFIを設立する」と宣言した。

 初代理事会には理事長Gregory Peck、副理事長Sidney Poitierをはじめ、Francis Ford Coppola、Arthur Schlesinger Jr.、Jack Valenti、その他芸術界・学界を代表する22人が名を連ねている。

 初代学長George Stevens Jr.の統括の下、Center for Advanced Film Studiesと呼ばれるフィルムメイカー向け訓練プログラムを確立した。一期生にはTerrence Malick、David Lynch、Paul Schraderらがいる。

 ケネディ舞台芸術センターの収蔵フィルム公開プログラム、および長編映画のカタログは創立から5年以内に作られ、アメリカ映画史に関する最も信頼のおける情報源となっている。さらにAFI功労賞は、映画人のキャリアに対して与えられる最高の栄誉として知られている。

徹底した作品プログラムと教育活動支援で地域社会に貢献

 1980年にAFIは8エーカーの敷地を持つハリウッド・キャンパスを取得し、AFI Conservatoryに映像専門家養成プログラムを組み込み、大学院の認可を受けた。そして、エンタテインメント分野と技術分野の意見交換を活発化させ、デジタル・メディアを管轄分野に加えた。

 また、アメリカ各地で開催された映画祭やテレビシリーズ『AFI’s 100 Years…100 Movies』により、アメリカの古典的映画作品が改めて注目されるようになった。ほかにも、AFIはメリーランド州シルバースプリングにAFIシルバー劇場文化センターを開設し、ワシントンD.C.周辺のコミュニティで充実した内容の映画関連プログラムと教育支援活動を行っている。

恵まれた立地条件と充実した施設

 キャンパスは、ハリウッドを見下ろす丘の上に位置している。プロの映画製作の中心地からもほど近く、スタジオやネットワーク放送局、数々のポストプロダクション施設にも簡単に行くことができる。

 AFIはSonyやWarner Bros.からの多額の寄付によって成り立っており、学内の建物は企業名を冠している。Warner Bros. Buildingには防音スタジオ、教室、試写室、プロダクション・オフィス、コンピュータ・ラボがあり、Louis B. Mayer Libraryには特殊・専門資料、各種の研究用素材が集められている。Sony Digital Arts Centerには、最新のAvid Symphony Nitris DXなどがネットワーク化されたポストプロダクション施設が入っている。

AFI Conservatoryとは

映画芸術における未来のリーダーを支援

 「Conservatory」とは、元々はアーティストを一同に集め、作品を作るプロセスの中で学習する教育形態を指す用語だ。その場において教員は一方的に授業を行う存在ではなく、あくまでメンターとして作品製作のプロセスに携わる。映画製作はコラボレーション(協業)が必須となるため、AFIは40年間にわたり、このモデルを一貫して守り続けてきた。

 AFI Conservatoryは、映画芸術分野の未来のリーダーとなる人物を特定し、支援する組織である。映画が文化と社会の両方に多大な影響力を持つという思想を貫いており、撮影監督や監督、編集、美術、プロデューサー、脚本家らに映画製作の技術を教えると同時に、各分野に共通するストーリーテリングの技法に注力している。

 原則として2年間のコースだが、どのタイミングで卒業しても学費が変わらないことや卒業製作を完成させるために、卒業を半年延長する者が多い。また、海外からの留学生が多く、毎年各クラスの4分の1から3分の1程度の割合で、米国外からの留学生が在籍している。

実践的なクリエイティブ・コラボレーション

 伝統的な大学院とは異なり、AFI Conservatoryは実践的なコラボレーションを主な教育ツールとしている。全プログラムのフェロー(AFIでは学生をこのように呼ぶ)が継続的に共同作業を行い、それぞれの物語を語り、ビジョンの実現を目指すことにより、実際の映画製作環境そのままの経験を積めるのである。全体のプログラムの中で実際の映画製作が占める割合は半分から3分の2で、残りは座学で理論を中心に学ぶ。日本の学校では理論だけを学び、実践は社会に出てからというスタイルが主流だが、AFIの場合は学んだ理論をすぐに映画製作のプロセスで活用できる。

 また、EditingのHDワークフローや、CinematographyのデジタルHDカメラ、シングルセンサー・カメラなど、各プログラムでデジタル技術の訓練ができ、ビジュアル分野で使われる最新技術を習得することが可能だ。

入学には映像製作経験が必要

 実際の製作作業を通して得られる知識や技術を重視していることから、入学の際は原則として志望プログラムに関連した実務経験、または教育的背景を求められる。そのため、フェローの平均年齢は27歳となっており、フィルムスクールの中では比較的高めだ。また、週に7日間のプログラムが行われるケースも珍しくなく、フルタイムで取り組めることが望ましい。

6つのプログラムで高度なクリエイティブ実務経験を提供

 AFIには6つのプログラムがあり、60コマ以上の履修単位を取ることでMFAまたは修了書が与えられる。各プログラムには、クリエイティブのプロセスと実製作のコラボレーション・プロセスを体験できる製作実習が含まれている。全フェローが最低でも4本の短編映画の製作を義務づけられており、この本数は米国フィルムスクール最多といわれている。製作の機会が豊富なため、失敗や反省点をすぐに次へ活かせるのもメリットのひとつだ。

 また、世界的なフィルムメイカーを招いて開かれるマスターセミナーにも参加し、総合的な理解を深めていく。2009年から2010年には、Cherien Dabis、Frank Darabont、Jon Favreau、Werner Herzog、Jason Reitman、Steven Soderberghなどのフィルムメイカーが招聘された。

Producing(プロデューシング)

クリエイティブと実務の両面から、製作に関する知識、クリエイティブな思考を身につける。他プログラムのフェローとの共同製作を通じてプロデューサーの役割を学び、企画を先導する力を習得していく。

 Producing

Cinematography(撮影監督)

フェローは視覚面のストーリーテリングの技法と技能を中心に、プロの撮影監督から指導を受けたり、ストーリーの視覚的な解釈によっていかに観客を感動させるかを学んだりする。

Directing(監督)

監督向けのプログラムは、ストーリー(ナラティブ)、視覚的言語、演技に焦点を当て、脚本から上映に至るプロダクション過程についての総合的な理解をもたらしている。フェローは脚本家やプロデューサー、そしてプロの俳優との共同作業について、また撮影監督やプロダクション・デザイナー、編集担当のビジョンを製作物に盛り込む方法について学ぶ。

Editing(編集)

編集プログラムは、ストーリーテリングを最優先事項としたポストプロダクションの技術面や美的側面、コラボレーションといった面を扱うべく組まれている。フェローは編集や編集助手、ポストプロダクション・プロデューサーとしての技術を身につけつつ、他のチームメンバーとの共同作業について学ぶ。

Production Design(美術)

建築、インテリア、風景デザイン、舞台美術、その他の関連分野のアーティストの関心を集める美術カリキュラムは、ストーリーテリングに欠かせない要素となる視覚的、物理的な環境作りに焦点を当てている。プロダクション・デザイナーには、スクリーン上に説得力とリアリティのある世界を生み出すために、ストーリーを的確に理解する能力が必要なのだ。

Screenwriting(脚本)

プロの脚本家の世界を再現した環境で、物語の紡ぎ方を学ぶ。フェローは、自分にしかない語り口を見つけ出し、クリエイティブ・チームの一員として仕事をすることの基礎を学ぶのである。

[プログラム]Producing

人間関係のマネジメントまで含めて製作現場を体験

 Producingのフェローは、製作のクリエイティブ面と実務面のすべてにわたる深い知識、クリエイティブな思考、そして自信と権威をもって企画をリードする力を身につけて卒業する。

 授業では、ディスカッションやロールプレイングが多く取り入れられているのも特徴だ。1年生は他プログラムのフェローとのコラボレーションにより、「サイクル・プロジェクト」として3本のストーリー企画をプロデュースする。チームとしてクリエイティブ・ミーティングやプロダクション・ミーティングに参加し、個別のプロジェクトについての話し合いが持たれ、開発へとつなげられる。さらに、毎週開催されるワークショップやセミナーに出席し、映画製作のプロセスにおけるプロデューサーの役割と責任を学ぶのである。

 2年生になると、製作実習が中心の1年目とは打って変わって、座学が中心の授業となる。また、他プログラムのフェローとチームを組み、短編映画の卒業製作を行うことになる。これは「シーシス・プロジェクト」と呼ばれ、前述の6つのプログラムからひとりずつ集まってチームを形成し、最低でも約3ヵ月間のプリプロダクションと3~6ヵ月間の脚本開発、そして自らファンドレイジングを行なう。短編映画という枠組みは1年目の「サイクル・プロジェクト」と変わらないが、チームの裁量と能力次第では20倍以上にも予算を拡大できる。なお、2年次最大の課題である卒業製作は、チームそれぞれの撮影時期が異なるため、フェロー個人の日常もそのスケジュールによってまったく変わってくる。

 そのほかにも、個人の卒業製作ポートフォリオの必須要素として、劇場用映画またはテレビ企画の開発を手掛けなければならない。そして1年次と同様に、クリエイティブ事業としてのプロデュースの、さまざまな面に関連する各種ワークショップやセミナーに参加することになる。

2年次はAFMでのインターンシップが必修

 Producingのフェローに限り、2年次のカリキュラムで毎年秋に行われるアメリカン・フィルム・マーケット(AFM)出展企業へのインターンシップが必修科目となっている。約10日間のマーケット開催期間中、与えられた企業ブースで受付やランナーなどをするかたわら、ディール取りつけのミーティングなどに立ち会える。

プロの俳優を在学中に起用できる

 学生の短編映画とはいえ、映画製作に俳優の存在は欠かせない。アメリカの俳優組合では俳優の最低出演料が定められており、エキストラではなく俳優として出演する場合はギャラの支払いが義務づけられている。しかし、AFIでは映画俳優組合のThe Screen Actors Guild(SAG)と独自に協定を結び、ギャラを払わずとも質のよい組合員のプロたちを起用できるシステムを確立している。

充実のサポートで一流プロデューサーを育てる

 常に新しい才能が求められているアメリカでは、製作した短編映画の質次第で仕事のオファーへつながる機会は多い。そこで毎年AFIでは、フェローと業界関係者をつなぐ試みとしてハリウッドの代表的な映画館であるArclightの1スクリーンを数日貸切り、卒業製作を上映する「AFI Showcase」を開催している。

 なお、Producingの卒業生には、『ラブ & ドラッグ』『マイアミ・バイス』を製作したPieter Jan Brugge (1979年卒)、『バベル』『マルコヴィッチの穴』を製作したSteve Golin(1981年卒)、『アバター』のビジュアル・エフェクツ・プロデューサーであり『かいじゅうたちのいるところ』のビジュアル・エフェクツ・コーディネーターでもあるMaricel Pagulayan(1991年卒)などがいる。

教員にプロのフィルムメイカーを起用

 フェローが各自の領域に熟達するよう、ハリウッドで活躍中のエンタテインメント系の弁護士、スタジオ幹部、プロデューサーなど実績のあるプロフェッショナルが助言者、指導者として育成にあたっている。カリキュラムは才能とストーリーテリングへの情熱を持つ人物のために組まれており、教員はそのカリキュラムを通じてフェローを集中的に指導する。各プログラムの教員はSenior Filmmaker-in-Residenceが統括し、師弟関係をうまく築けるよう、クラスやワークショップはいずれも少人数制となっている。

Neil Canton

上級レジデント・フィルムメイカー。Peter Bogdanovichのアシスタントとしてハリウッドで働き始め、『おかしなおかしな大追跡』『ペーパー・ムーン』『ニッケルオデオン』の製作に参加した。クレジットされた作品には、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズをはじめ、『イーストウィックの魔女たち』『マネー・トレイン』『エンジェル・アイズ』などがある。Academy of Motion Picture Arts and SciencesおよびProducers Guild of America会員。

Stan Brooks

上級講師。Brandeis Universityで学士号を、AFIでMFAを取得する。Savoy Pictures Televisionの社長として6つの製作・開発委員会を統括し、その後テレビ映画製作会社を経営した。

Todd Hoffman

Peter Stark Producing Programの卒業生。インディペンデント・プロデューサーとして活動後、ICMでエージェントを務めている。

Carol Baum

講師。2005年に『Sexual Life』『Carolina』と『グッド・ガール』をプロデュースし高い評価を得て、4つのインディペンデント・スピリット賞のノミネーションを獲得した。エグゼクティブ・プロデューサーとして『ヒマラヤ杉に降る雪』、David Cronenbergの『戦慄の絆』、James Foleyの『俺たちの明日』を手掛ける。20th Century FoxとLorimarの副社長も経験している。

Marie Cantin

講師。サンダンス映画祭観客賞を受賞した『ウォーターダンス』、劇場用インディペンデント映画『Days of Wrath』、ストーニーブルック映画祭の最優秀映画賞を受賞した『The Book of Stars』をプロデュースする。『コラテラル』『ダンテズ・ピーク』をはじめ、数多くの現場で製作主任を務めた。

Robert Cort

講師。プロデューサーとして、『スリーメン&ベビー』『スリーメン&リトルレディ』『ゆりかごを揺らす手』『カクテル』『ビルとテッドの大冒険』『ビルとテッドの地獄旅行』『プリティ・ブライド』『セイブ・ザ・ラストダンス』など47本の劇場用映画を手掛け、世界興行収入25億ドル以上を記録している。1976年に映画産業に足を踏み入れ、翌年Columbia Picturesの広報宣伝担当副社長に指名され、1980年にはFoxのマーケティング担当取締役副社長に就任した。マーケティングの責任者を務めた5年の間に、『未知との遭遇』『ミッドナイト・エクスプレス』『チャイナ・シンドローム』『オール・ザット・ジャズ』『Tスター・ウォーズ エピソード5/帝国の逆襲』『9時から5時まで』といった作品のキャンペーンを計画・監修した。その後は20th Century Foxの製作担当取締役副社長として、『ロマンシング・ストーン 秘宝の谷』『ナーズの復讐』の製作を見届けた。

Penney Finkelman Cox

講師。ライブアクションとアニメーション、両方の製作経験を持つ。2002年5月、長年のビジネス・パートナーであるSandra Rabinsと共にSony Pictures Animationの取締役副社長に指名され、Sony Picturesの劇場用アニメ部門を創設。同部門のプロジェクトの開発と製作の責任者として、Sony Pictures Animationの公開映画第1弾および第2弾、『オープン・シーズン』とアカデミー賞ノミネート作品『サーフズ・アップ』をはじめとする作品を手掛ける。

Kevin Jones

上級講師。Columbia PicturesのSenior Vice Presidentであり、『恋はデジャ・ブ』『マネー・トレイン』『ザ・インターネット』などの作品に関わった。1年生の前期のみに授業を教え、2年目はNeil Cantonと共に卒業製作の企画開発メンターを務めている。

Robert Kaplan

上級講師。エンタテインメント専門の弁護士であり、インディペンデント映画のプロデューサーでもあった彼は、ロンドンのWarner Bros.の商務担当の取締役を務め、アメリカ以外の国での製作活動を管理していた。

Betsy Pollock

講師。プロデューサー、プロデューサー補、第一助監督として劇場用映画、コマーシャル、公共広告およびテレビ映画に関わる。共同製作を務めた短編映画『Two Soldiers』は、2004年のアカデミー賞最優秀短編映画賞を受賞した。長年にわたってWomen in Filmに関わっており、現在では映画完成基金の共同議長として基金委員会の業務をこなす。North Carolina School of the Artsで3年間、プロデュース学科の学科長を経験している。

Jeff Wachtel

講師。USA Networkの共同社長であり、Universal Cable Productionsのコンテンツ担当共同経営者を務める。テレビ業界のエグゼクティブおよびプロデューサーとして経験豊富で、もう一人の共同社長であるChris McCumberと共に、最高の評価を得ているケーブルネットワークのあらゆる面を監修している。同ネットワークは『ホワイトカラー』『COVERT AFFAIRS/コバート・アフェア』『ロイヤル・ペインズ/Royal Pains 〜救命医ハンク〜』『ザ・プロテクター/狙われる証人たち』『PSYCH/サイク』『バーン・ノーティス 元スパイの逆襲』など、大成功を収めた数々のテレビ用オリジナル・シリーズを扱っている。

Producingの授業について 

【1年次カリキュラム】

サイクル・プロダクション入門 (短期集中講座)
 ストーリー、サイクル・プロダクション、批判的分析、コラボレーション・プロセスの基礎を学ぶ、入門編の集中ワークショップ。全コースのフェローが協力してプロダクション実習を行ない、また各自のプログラムの観点から専門的な指導を受ける。
サイクル・プロダクションⅠ
 チームを組んでプロダクション・グループを結成し、デジタル・ビデオによる短編ストーリーを製作する。フェローはプロジェクトのプロデュースとコーディネートを行ない、またクルーとして働いて現場経験を積むと共にストーリーテリングの視覚面に貢献する。Producingの1年生は、少なくとも1本の短編ストーリー・プロジェクトにおいて、すべてのプリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションの責務を果たさなければならない。何らかの理由で必須本数以上の作品をプロデュースする場合は、やはり同様の責務をすべて果たすものとみなされ、その前提で評価されることになる。
セミナー:映画ビジネス(院生向け)
 映画化権のオプション契約を結ぶための知識とノウハウ、脚本家や監督らを雇う際の契約書の読み解き方、著作権のコンセプトなど、ハリウッドビジネスの全体像を学ぶことができる。また、映画製作における金銭の流れ、法的課題、マーケティングなど、実務的な側面も含めて知識を得られる。
サイクル・プロダクションⅡ、Ⅲ
 継続的プロダクション・ワークショップ。フェローは自分のチームを作り、2本の短編ストーリー・プロジェクトをプロデュースする。Producingの1年生は、少なくとも2本の短編ナラティブ・プロジェクトで、すべてのプリプロダクション、プロダクション、ポストプロダクションの責務を果たさなければならない。何らかの理由で必須本数以上の作品をプロデュースする場合は、やはり同様の責務をすべて果たすものとみなされ、その前提で評価されることになる。
ナラティブ・ワークショップ
教員名 複数
頻度 週2日×1コマ(2時間)
期間 通年
必修・選択 必修
配当年次 1年・春&秋セメスター

 年間を通し製作した3作品の短編映画を、教員、フェローのみしか参加権利のない構内のプライベート上映で発表し、評価を受ける。この授業は1年目の中核となるワークショップである。大画面で観客と共に自作品を鑑賞し、鑑賞後主要チームは壇上へと招かれ、各フェロー、進行役の教授からの評価を受ける。その間主要メンバーの発言は一切禁じられている。

 まず初めに教授が観客であるフェローに問いかけるのは、下記の通り。
-この映画のストーリーを簡潔に要約せよ。
-ストーリーは明確だったか?
-物語の主役は誰だ?
-登場人物、特に主役目線のストーリー構成、ショット、編集だったか?
-コンフリクトは何だ?
-感情移入はできたか?
-製作者の狙い目を理解し、成功したと言えるか?

 上記のような全体的な評価を受けた後、各々の学科に特化したコメントも受ける。
-配役は機能していたか?
-映画のトーンとジャンルはマッチしていたか?
-ロケーションの選択は機能していたか?
-美術、証明、フレーミングは機能していたか?
-演出、演技は機能していたか?
等、多岐渡るコメントを受けることになる。

 また、このワークショプは鑑賞し評価を下すフェロー側も審査され、作品の分析、評価の明確性や発言力などを、経験を積むことにより鍛えることができる仕組みになっている。

プロデューシング・ワークショップ
教員名 Kevin Jones
頻度 週1日×1コマ(2時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 1年・秋セメスター

 着想から脚本、資金調達、実製作、配給、公開までに至る、今日におけるスタジオプロデューサーの役割と仕事内容の概略を学ぶ。特にスタジオプロダクションに重点を置き、クリエイティブ、並びに事業としてのプロデューシングの力学を、あらゆる媒体を例に、特にスタジオプロダクションに重点を置き、映画業界の枠組みの中で概説する。

 1年次のプロダクションがProducingの教員とフェローによって脱構築・分析され、その問題点はクリエイティブ面と実製作面の両方で検証される。また、既存の作品を基に3分以内のピッチ作成とプレゼンテーションの機会が設けられ、教員、ゲストプロデューサー、フェローから評価を受け、ハリウッドスタジオで実際に求められるピッチテクニークを鍛え上げる。また、「カバレッジ」と言われる長編脚本を1枚のレポートに纏め上げ、感想レポートを書く訓練を課せられる。また様々な分野からゲストを招きプロデューサーとして広範かつ多様な視点が持てるように構成されている。これまでのゲストは下記の通り:

Adam Fields プロデューサー
『シン・シティ 復讐の女神』(2014年)、『ドライブ・アングリー3D』(2011年)、『ドニー・ダーコ』(2001年)ピッチテクニーク、スタジオ内の企画開発の流れを学ぶ。

Ray Miller マネージャー
タレントエージェント、マネージメントの構造、職務領域、プロデューサーとの関係性などを学ぶ。

プロデューシング・ワークショップ(開発)
教員名 Michael Urban
頻度 週1日×1コマ(2時間)
期間 1セメスター
必修・選択 選択
配当年次 1年・秋セメスター

短編の脚本執筆を通じて、ストーリー開発と脚本執筆についての指導を行なう。このワークショップでは、オリジナル作品の場合と原作がある作品の場合の両方において、短編のストーリーと脚本を開発する。過去のオスカー受賞脚本からAFI短編作品まで多様な例題を活用し、ストーリーや執筆技術を分析し、映像化までのプロセスを学ぶ。

また、基礎的な執筆技術を磨くだけでなく、共同作業と執筆プロセスへの理解をもたらすことも目標としている。フェロー(学生)は自分やクラスメイトのクリエイティブ作品について積極的に意見を述べ、また耳を傾けなければならない。また、自作品のサイクルの脚本開発中にクリエイティブプロデューサーとして脚本家・監督対へのノートの出し方、脚本創作中に使用する共通言語を取得し、開発の段階からのリーダーシップを発揮出来る様なトレーニングにもなる。

脚本開発
 ハリウッドでは、企画から脚本執筆を経て制作に入るまで平均7年といわれている。長い年数を掛けて脚本を改訂し、その過程をマネジメントすることがプロデューサーの大きな仕事のひとつに挙げられる。この授業では、脚本を改稿する過程をしっかりと学び、プロデューサーズノートの書き方、脚本家の意見の伝え方なども学習する。
プロデューシングの技術、ライン・プロデューシング、ドラマ分析
教員名 Betsey Pollock
頻度 週1日×1コマ(2時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 1年・秋セメスター

 プロダクション管理およびライン・プロデューシングの概略を学ぶ。脚本のブレイクダウンやプロダクション準備に始まり、ポストプロダクション管理や納入に至る実製作のプロセスが明確化され、サイクル・プロダクションを頻繁に引き合いに出しつつ、この重要なプロセスの基本的な用語、ツール、技術などが伝えられる。授業で教わった内容をサイクル・プロダクションで実践する形となっており、実際に業界が使用するプロダクションソフトウェアMovie Magic SchedulingとMovie Magic Budgetingのトレーニングを受けた後、早速自作品の撮影スケジュールや予算を上記のツールを使用し作成する構成になっている。

 さらに、ハリウッド老舗ロケーションエージェンシー、エンタテインメント分野を専門とする保険会社やFilm LA(一部の市を除くロサンゼルス郡ほぼ全域の撮影許可をプロセスし発行する代行業者)からゲストを招き、ロケーションハンティングのノウハウや保険、撮影許可を取得する際の注意事項等を学び、実践に移す。また様々な分野からゲストを招きプロデューサーとして広範かつ多様な視点が持てるように構成されている。

 これまでのゲストは下記の通り:
Joyce Cox (Visual effects producer)
VFXに特化した全体プロセス管理や予算管理を学び、実写プロデューサーとの連帯や職務範囲を明確化する。
経歴
『華麗なるギャツビー』(2013年)、『メン・イン・ブラック3』(2012年)、『アバター』(2009年)、『ダークナイト』(2008年)、『ハリー・ポッターと賢者の石』(2001年)、『タイタニック』(1997年)

 Steve Tolin (Special effects makeup coordinator / Inventor of non-explosive bullet hits)
特殊メイクや特殊効果の安全面や、リスク、危険度によって異なる事務処理や予算管理を学ぶ。また、火薬を使用しない最新技術を学ぶ。
『Kantemir』(2014年)、『A New York Heartbeat』(2013年)

クリエイティブ・プロデューシング:編集
教員名 Donn Cambern
頻度 週1日×1コマ(3時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 1年・春セメスター

 このコースでは、クリエイティブプロデューサーとしてディレクターズ・カットの分析、評価を行い、編集者や監督へのノートを作成する。基礎的な編集工程を学んだ後、教員が自ら編集者として関わった3作品を基にファーストカット、ディレクターズカット、ファイナルカットを見比べ、編集工程の中でシーンがどのように変化し、最終的に作品全体に影響を及ぼしているのかを検証する。

 デイリーを見直す際のクリエイティブな視点として下記を紹介。
• 演技
• カメラワーク
• フレーミング
• カバレッジ
• NGテイクの中にも使える素材があるか

以上の項目を注意深く見直し、変更する際に下された決断を明確にする。

 また、単独投資(スタジオ作品)と複数投資(インデペンデント作品)とで異なるプロデューサーの権威、特にファイナルカットに対する権限の違いを明確化する。

マスターセミナー
 映画、テレビ、デジタル・メディアの、さまざまな部門を代表する人物を招いて開かれる。現代の映画芸術および映画業界に関して、広範かつ多様な視点が持てるように構成されている。
アメリカ映画の研究
教員名 Jim Hosney
頻度 週2日×1コマ(3時間)
期間 通年
必修・選択 必修
配当年次 1年・春&秋セメスター

 セミナーおよび上映会のシリーズ。幅広いジャンルのアメリカ映画の名作を見渡して、映画芸術から生まれた美的、文化的、歴史的、社会的現象を考察する。また上映作品の関連書籍や監督のバイオグラフィーを中心に作中のエピソードを紹介する。また、監督の初期の作品(デビュー作、学生映画、短編映画、ミュージックビデオ、コマーシャル作品)などを上映前に紹介し、各監督に特化した潜在的なストーリーテリングのアプローチやスタイルを分析し、上映作品ではどのように反映しているかを検証する。

上映映画のリスト:
『ゴッドファーザー PART II』 (1974年)
『裏窓』 (1954年)
『オール・ザット・ジャズ』(1979年)
『アダプテーション』(2002年)
『ラ・ジュテ』(1962年)
『12モンキーズ』(1995年)
『エイジ・オブ・イノセンス/汚れなき情事』(1993年)
『三つ数えろ』(1946年)
『過去を逃れて』(1947年)
『ロング・グッドバイ』(1973年)
『チャイナタウン』(1974年)
『ラブド・ワン』(1965年)
『ブレード・ランナー』 (1982年)

プロデューサーのための演技法
教員名 Natalija Nogulich
頻度 週1日×1コマ(2時間)
期間 1セメスター
必修・選択 選択
配当年次 1年・秋セメスター

 自発的かつ自然で奥行きのある演技をする技能を与えるための授業。フェローは俳優として扱われ、演技に没頭する。これにより俳優のプロセスを身をもって知り、俳優の方法論について鋭い洞察を得ることになる。フェローは俳優の言語に精通し、俳優や監督と直接コミュニケーションを取って奥行きのある演技を引き出せるようになる。このクラスではマイズナー法に力を入れ、フェロー自身が与えられた3つのシーンの脚本の読み込みから、脚本スタディー、台詞覚え、リハーサル、本番までを実演する。本番の演技を収録し、講師とその他フェローと共に演技や演出の評価をする。さらにオーディションのデモンストレーションをし、役者側と制作側の双方の疑似体験をし、クリエイティブプロデューサーとしての立ち振る舞いやパフォーマンスへの評価方法を学ぶ。

 また様々な分野からゲストを招きプロデューサーとして広範かつ多様な視点が持てるように構成されている。これまでのゲストは下記の通り:

プロデューサーCassian Elwes
『ダラス・バイヤーズクラブ』(2013年)
『大統領の執事の涙』(2013年)
『欲望のバージニア』(2012年)
『キリング・ショット』(2011年)
『ブルーバレンタイン』 (2010年)
*スター俳優のネームバリューと資金調達の密接な関係性を詳しく講義する。また、国内外での役者の知名度の違いを随時認識する事によって、海外向けの長編作品をリーゾナブルな予算内で制作出来るなど、配役のノウハウを伝授する。

1年次ポートフォリオ・レビュー
 1年次の成績評価を踏まえ、教員がフェローに2年生への進級、並びにMFAまたは終了認定書の取得についての勧告を行なう。Producingのフェローのポートフォリオ・レビューは、Producingの教員による公式インタビューの形で行なわれ、その結果を基に今後の実習内容についての助言が与えられる。
脚本とカバレッジ
教員名 Carol Baum
頻度 週1日×1コマ(3時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 1年・秋セメスター

 このコースでは、ピッチと脚本に対する「コメントの出し方」を学ぶ。各学生は既存する映画のピッチを行い、トーンや話し方、ピッチの構成など、全体のプレゼンテーションを評価する。その後、独自のオリジナルアイディアをゲストプロデューサー、講師、フェローに対してピッチし、実践さながらの評価を受ける。

 脚本のコメントは「story note」と言う形で、「概要」、「トーン」、「関係性」、「構成とストーリー」、「台詞」、「コンフリクト」、「問題の提示と解決方法」などのエリアをカバーする。フェローは脚本の分析をした後、実際ノートを作成し、効率的、効果的なコメントの出し方を学ぶ。

 また、書籍の映画化を専門とした講師をゲストとして迎え入れ、2クラスに渡り、ライター、もしくは、出版社へのピッチ方法、optionとpurchasingの違い、work for hireのコンセプト、copyrightingの概念からの書籍の映画化の流れを学ぶ。最後に、今日のハリウッドリメークのトレンドを分析し、フェロー独自がリメーク企画書を用意する。企画書には「オリジナルの企画の背景」、「なぜリメイクするか」、「どのようにリメイクするか」、「商業性」、「社会的存在意義」、「まとめ」を書き、最後に、監督・脚本家・キャストリストも提出する。

 また様々な分野からゲストを招きプロデューサーとして広範かつ多様な視点が持てるように構成されている。これまでにHoward Rosenman(『花嫁のパパ』、『天使のくれた時間』)をゲストとして迎えている。

【2年次カリキュラム】

卒業製作ポートフォリオ、プロデューシング
教員名 Neil Canton
頻度 該当無し
期間 該当無し
必修・選択 必修
配当年次 2年・秋セメスター

 フェローが卒業後に自分の力でプロデュースしたいプロジェクト(長編映画、テレビ番組、ウェブシリーズ、アニメーション、等)を探し出し、プレゼンテーションを作り上げる。このプレゼンテーションは「ポートフォリオ」と呼ばれ、自分のプロデューシングのスキルや才能を証明する為の必修課題である。フェローは個人、または、別のプロデューシングフェローとパートナーシップを組むことが認められており、仕上がったポートフォリオは卒業後にプロジェクットの資金集めの資料として使用可能な状態まで仕上げていく。ポートフォリオはAFI Conservatoryで培ってきた経験をまとめたものであり、評価検討され、承認を得なければ卒業することができない。

 ポートフォリオの内容は下記のトピックで成り立つ:
1) 作品の概要 (タイトル・あらすじ・媒体)
2) 製作者の紹介 (プロデューサー・監督・脚本家)
3) 製作プラン (予算、製作時期、完パケ予定日、キャスト、ロケ地) 
4) 資金計画(個人出資、企業出資、プリセール、銀行融資)
5) リーガル(著作権、雇用契約、LLC設立、優遇制度)
6) 脚本(WGA登録)
7) 暫定撮影スケジュール・撮影時期・追加撮影時期
8) 暫定予算 (複数のロケ地候補がある場合、比較予算を出す)
9) 想定観客、ターゲットマーケット、マーケティングプラン、映画祭プラン

卒業製作:プロデューシング
Thesis Production
教員名 複数
頻度 通年
期間 通年
必修・選択 必修
配当年次 2年・秋セメスターもしくは春学期

 Thesis Getaway: Preparation for Thesis Production & Beyond(卒業制作に向けた実製作入門)で得たライン・プロデュースの全てをひと通り訓練し終わった後、秋学期の10月から毎週1チームが全6日間の撮影スケジュールを元に各自の卒業製作の撮影を遂行する。毎年春学期の5月まで計28作品が製作される。製作予算は1万3000ドルから6万5000ドル。

 すべてフェローは1年目終了間近の4月までに各自のアイディアを単独もしくは共同執筆し同校の教員で構成された卒業制作委員会に提出する事が出来る。卒業制作委員会が脚本選考(グリーンライト)を行った結果、グリーンライトを得た脚本のみが2年目に卒業作品として製作される。グリーンライトを得た脚本家は作品を各分野のフェローにピッチし、製作チームを作り上げる。プロデューサーは早い段階で製作チームに加わるため、作品への深い理解を元に残りのアーティストの選考などに大きな影響力を及ぼす。

 製作チームを組んだ後、制作費の資金調達を行い、同時に約3ヶ月から9ヶ月の脚本開発、約3ヶ月のプリプロダクションを経て、6日間の撮影を遂行する。

 プリプロダクション期間では撮影12週間前、5週間前、2週間前に指導教員へ制作準備の進捗を、脚本開発・資金調達・予算管理・撮影計画・キャスティング・スタッフィング等に重点を置き報告する。

 撮影期間は予定した撮影計画が問題無く遂行されているか、プロデューサーとして管理し、必要に応じて問題解決に努める。撮影後は各組合への必要書類やコスト・リポートを仕上げ、同時にクリエイティブプロデューサーとしてファーストカットへのノートや追加撮影や取り直しが必要なシーンを試写から得た反応を元に認識し、追加撮影の準備も進める。

 その後は完パケに向け、カラコレ、音楽、音響効果等、 のコーディネートや必要に応じてクリエイティブプロデューサーとして意見を発する。完パケ作品の完成披露、映画祭への提出などを期限内、予算内に遂行する事を求められる。

卒業制作に向けた実制作入門
Thesis Getaway :Preparation for Thesis Production & Beyond
教員名 Marie Cantin
頻度 週1日×180分
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 2年・秋セメスター

 AFIの最重要カリキュラムとなる卒業製作は、約3ヵ月から9ヵ月間の脚本開発、約3ヵ月間のプリプロダクション、そして1万3000ドルから6万5000ドルという製作予算を基に行なわれる。フェローは1年次の製作経験を土台に、卒業製作の全責務を果たさねばならない。卒業製作はプロレベルで作られる短編のフィルムまたはデジタルビデオ作品であり、上級講師によって評価される。プロデューサーは指導教員のガイダンスの下、プロジェクトチームのメンバーとの共同作業を進める。卒業製作チームは脚本開発、プリプロダクション、ポストプロダクションの特別ワークショップに参加するほか、複数領域にまたがるクリエイティブ・コラボレーションの理解を完全なものにするため、定期的にプログラム別のワークショップも訪れる。

 このコースでは卒業制作のプロデューサーとしての下記の責務を実践し、網羅する。
1:撮影スケジュールの作成
 a. 撮影中の重要想定を立てる
 b. プリプロダクション、撮影、ポストプロダクションの重要タスクを明記したプロダクションカレンダーの作成
 c. Movie Magic Scheduling ソフトウェアーを活用し、撮影スケジュールの作成
2:製作予算の作成
 a. 撮影スケジュールと重要想定を基にMovie Magic Budgetingソフトウェアーを活用し、予算を立てる
 b. 映画業界の主要労働組合(SAG、DGA、IATSE)の団体協約の理解を取得
 c. 子役俳優を起用する際の労働基準法の理解
 d. スタント、特殊メイク、VFXが発生するシーンの重要想定の認識と予算組みの理解
3:ポストプロダクションのワークフローの理解
 a. フォーマット (フィルム vs. デジタル)の違いによって異なるワークフローと予算への影響
 b. 効果音やADRの作業プロセスの理解と予算組み
 c. 音楽のコピーライトやライセンスの理解
 d. 完パケのプロセスや予算の理解

プロデューシング・ワークショップ:制作ビジネス
教員名 Robert Kaplan
頻度 週1日×1コマ(3時間)
期間 1年間
必修・選択 必修
配当年次 1年・秋セメスター、2年・春セメスター

 

 10億-30億ドル規模の制作を想定し、IP取得から監督・スター俳優・その他主要クルーとのディールメモ、資金調達のノウハウ、さらに配給・P&Aのプロセスなどを明確化し、実際の書類を元に用語、ツールなどが伝えられる。また、スタジオ投資作品とインデペンデント投資作品によって異なるプロデューサーの権限を明確化する。

 IP取得にかかる費用やリスク、コピーライトに重点を置いた契約方法(Option vs. Purchase Price)を紹介。また、アダプテーションvs.オリジナル脚本、単独ライターvs.複数ライターとの契約方法の違いや、Option延長の必要性又は、金銭的影響を明確化する。さらに、スタジオ影響下で開発された脚本とインデペンデントとして独自に開発した脚本へのクリエイティブプロデューサーとしての影響力の違いを認識する。

 スター俳優やスター監督とのディールメモを実際の契約書を用い、用語の深い理解(pay or play、deferment、box office bonus、その他多数)を得る。また、予算と照らし合わせネゴシエーションスキルを鍛える。単独投資(スタジオ作品)と複数投資(インデペンデント作品)とで異なるプロデューサーの権威、特にファイナルカットに対する権限の違いを明確化する。

 以上のトピックを学んだ後、フェローは3人1組のプロデューサーチームを組み、ネゴシエーションの疑似体験を行う。

2年次開発ワークショップ
 将来のプロダクションに向け、長編映画の脚本を自分で執筆する。基本的に毎週フェローが脚本を書き続け、担当教員と毎週行われる個人別のミーティングを通して、企画開発における助言を受ける。こうして教員の指導の下、フェローは劇場用作品の特定や開発、製作準備に関するスキルを磨いていく。Screenwritingだけでなく、全プログラムのフェローが任意で選択することができる。
プロデューシング・ワークショップ上級:番組の総括
 USA Networkの共同社長であるジェフ・ワクテルが担当する授業。近年、急成長しているテレビ業界の歴史や現状、放映スケジュール、そしてテレビドラマの企画開発について学ぶ。
プロデューシング・ワークショップ上級:テレビにおけるストーリーテリング
教員名 Stan Brooks
頻度 週1日×1コマ(2時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 2年・秋セメスター

 テレビ業界におけるピッチングを専門とした授業。業界でのピッチングのプロセスを学びつつ、定期的にクラス内でフェロー同士による実践的なピッチングの練習を行う。毎週、業界からゲスト・スピーカーを招き、ピッチングを通して企画開発が製作段階に移り変わる過程を聴講することができる。

 近年、急成長しているテレビ業界の歴史や現状、放映スケジュール、そしてテレビドラマの企画開発について学ぶ。また、このコースでは映画業界とテレビ業界とのプロデューサーの立ち位置の違いを明確に学ぶ。多様化するテレビ番組の構成を理解し、その枠組みでのストーリー展開、放送媒体、放送時間帯、番宣広告、キャスティング戦略を実際の番組を分析する中でフェローは理解を深めることができる。米国のメジャーネットワーク、ケーブル、ビデオ・オン・デマンド(VOD)、定額制動画配信(SVOD)などの映像コンテンツ視聴の違いをターゲット視聴者、収入源(広告料、課金、定額料金制)、再生媒体など多岐の方面から深く掘り下げ、クラスの中でフェローが実践的に開発したストーリーとのベストマッチングを洗い出す作業をする。

 年間を通じて、テレビ業界のストーリーピッチから、スペック脚本の執筆、パイロット版の制作、そこから本編への制作の流れをタイムラインを元に学ぶ。

マーケティング
教員名 Hilary Hartling
頻度 週1日×1コマ(3時間)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 2年・春セメスター

 ウォルト・ディズニースタジオの重役であるHilary Hartlingが教員を務める。今日の興行映画は3日間のオープンングウィークエンドの興行収入が映画の運命を左右する中、「butts in seats」(観客数)を戦略的指標とし、それを達成する為にはどのようなマーケティング戦略が効果的かゲスト・スピーカーを通して学ぶことができる。

 1:前年のヒット作品と各作品のマーケティングを検証
 2:想定観客の認識の重要性
Quadrants 分析(性別、年齢+/—25歳、家族構成、人種)
 3:作品のSWOT分析強み(Strengths)、弱み(Weaknesses)、機会 (Opportunities)、脅威(Threats)を理解し分析能力を高める
 4:各マーケティング媒体の紹介
メディア、プレス、印刷媒体、テレビスポット、ビルボード、SNS、プロダクト・プレイスメント、デジタル広告。

 またフェローは毎週末の興行収入の結果予測を事前に立てる。その際、キャスト、スタッフ、過去の類似作品の興行成績、マーケティング規模、メディアの露出等を分析する必要がある。

ナラティブ・エンタテインメントのプロデューシング技法・上級
 2年次のProducingにおける重要な授業のひとつ。プロジェクトの立ち上げにはじまり、脚本家の雇用、監督とのやり取り、編集、マーケティング、事後分析に至るクリエイティブ・プロデューサーの業務全般について考察する。前期と後期に分かれており、前期では現役の敏腕プロデューサーであるロバート・コートが長年にわたって統計的かつ論理的に脚本の企画開発過程を分析し、その結果導き出した成功の方程式について学ぶ。後期では、教員がペニー・フィンケルマン・コックスに替わり、主にアニメーション、ドキュメンタリー、そしてリアリティーテレビ番組など、長編映画だけでなく幅広いエンタテインメント業界について講義を行なう。カリキュラムには、講義や最近のケーススタディ、読書、上記業務の一部の模擬実習などが含まれる。
実製作
 1年次の経験を土台に、その時々の話題に基づいて、詳細なスケジュール組みや予算立てにはじまり、ポストプロダクションの監修や特殊法務、権利処理といった専門性の高い要素に至るまで、実製作の専門的側面を考察する。フェローは、ラインプロダクション工程の実体験を積ませることを目的とした、さまざまな製作実習に参加することとなる。ワークショップでは、実製作に携わる多くのプロを定期的に招聘する。また、卒業製作の実制作面の定期的な評価というのもワークショップの中心的要素のひとつである。戦略的なプロデューシング技術、開発戦術、ファイナンス手法、法的取引、国内外のマーケティングおよび配給への取り組みなどが扱われる。
インターンシップ実習科目

 1年目のカリキュラムを無事終わらせ、2年目への進級が認められたフェローは約2ヶ月程ある夏休み中、インターンシプの仕事に就く事ができる。プログラムの指導教員の判断によっては、単位取得のために必修となる場合がある。目的は、学位・修了取得のために必須とされる映画・テレビの実務経験を与えることであり、具体的な業務や必須事項は指導教員によって指示・監督される。履修に先立ってアドバイザー、指導教員、学科長からの承認を得る必要がある。

 プロデューシングフェローを対象としたインターンシプポジションは大きく3つに分けられる。

 企画開発に特化した職務だと、大手スタジオや独立系スタジオの脚本開発部に入り、ペースとしては一日1本の長編作品を読み、その内容を要約し感想をまとめる「カバレッジ」という作
業がメインになる。脚本分析、それを伝える表現力を度重なる訓練によって身につける事ができる。

 また、タレントエージェンシーやマネージメント会社等で努めた場合、ボスのスケジュール管理、電話やメールの管理、時には、上記のポジション同様カバレッジがメインになる場合もある。日々業界人が出入りする環境の中で業界事情に深く精通でき、ハリウッド内でのネットワークを広げることができる。

 最後に、製作会社によって企画の規模やポジションは異なるが、製作チームに入り、長編、コマーシャル、ウェブシリーズ等の撮影現場で製作経験を積む場合もある。Screen Actors GuildやDirectors Guild of Americaとの契約書作成、Deal Memoなど法的書類作成や、撮影前から配給を見据えた戦略等、フィルムスクール内での映画製作では知る由もない経験を積む事ができる。

ファーストフォワード:卒業制作ポートフォリオ入門とその後
教員名 Marie Cantin
頻度 週2日×1コマ(2時間半)
期間 1セメスター
必修・選択 必修
配当年次 2年春セメスター

 このクラスでは卒業必修課題であるポートフォリオ(注:授業目「卒業制作ポートフォリオ、プロデューシング」を参照)の作成手順を学ぶのと同時に、AFI在学中に培った$4,000(40万円)〜$65,000 (660万円)制作費規模の短編映画制作スキルを基に長編映画、テレビ、ウェブシリーズ、アニメーション等の製作希望を想定したプロデューシングスキルを学ぶ。

 このコースでは各項目の深い理解を実践的な授業内容とゲスト講師実務的なレクチャーによって下記の項目を網羅する。

 フェローが卒業後に自分の力でプロデュースしたい長編脚本を探し出し、その製作予定とプレゼンテーションを作り上げる。こうして、Producingのフェローは全員、自分のプロデューシングのスキルや才能を証明するための個人ポートフォリオを作成する。ポートフォリオはAFI Conservatoryで培ってきた経験をまとめたものであり、評価検討され、承認を得なければ卒業することができない。

ポートフォリオは下記の項目によって成り立ち、このコースでは各項目の深い理解を実践的な授業内容とゲスト講師実務的なレクチャーによって網羅する。

1:撮影スケジュール
 a: 撮影中の重要想定を立てる
 b: 撮影スケジュールの作成

2:予算
 a: カリフォルニア州の労働基準法
 b: 映画業界の主要労働組合(SAG、DGA、IATSE)の団体協約の理解と予算への組み入れ方
 c: 主要映画撮影地の優遇制度の予算への組み入れ方
 d: 税務処理の理解と 予算への組み入れ方
 e: Above the lineのコンセプトの理解と予算の組み方 (脚本、監督料、キャストコスト、プロデューサーフィー、等)
 f: Below the lineのコンセプトの理解と予算の組み方 (クルー人件費、機材レンタル、ロケ費、等)

3:優遇制度
 a: 主要撮影地の優遇制度 (Refundable vs. Transferable)
 b: 北米制度と他国との違い
 c: 比較予算の作成方法と検証
 d: ロケ地/プロダクションプランの決定事項(クリエイティブ vs. 予算)

4:労働組合
 a: 主要労働組合の歴史(SAG-AFTRA、DGA、WGA、IATSE)
 b: 低予算制作の契約書の理解
 c: テレビ制作の契約書の理解
 d: New Media制作の契約書の理解
 e: IATSEのNational vs. One-Off ISTSE Rateの差異の認識と予算への影響
 f: Non-Union労働者採用の利点とリスクの認識

5: ポストプロダクション
 a: ポストプロダクションの全体ワークフローの理解
 b: ポストプロダクションスケジュールの作成
 c: ポストプロダクションの予算の作成
 d: ポストプロダクションサウンド・カラーコレクション、DI(デジタル・インターミディエイト)、VFXの業務内容の理解

6: マーケティング、ファイナンシング、保険
 a: 想定観客を設定し、それに基づいたマーケティングプランを立てる。また、広告媒体も想定し予算を確保する
 b: ファイナンシングリソース(スタジオ vs. 独立系)の理解
 c: 共同製作の注意事項
 d: 映画プロダクション保険補償範囲の理解

世界の映画
 1年次の「アメリカ映画の研究」の続きとなる授業。2年次では世界の映画を幅広く鑑賞し、映画芸術に見られる美的、文化的、歴史的、社会的現象を考察する。世界映画史における名作を35ミリのフィルム・プリントを使って校内の劇場で鑑賞するという、一般的に現在では不可能なことを経験できる授業でもある。鑑賞後は、教員が製作陣の舞台裏や撮影技法などについて、フェローの感想を交えながら討論する。
専門職
 現代の映画界の専門職についての概要を学ぶ。プロとしてのキャリアに踏み出す際の助けとなるべく、ここでは、大手とインディペンデント、両方の映画・テレビ専門職の内情に関する最新の情報や洞察を与える。
プロデューシング事業・上級
 映画業界の契約に関する基本的な法律、企画開発段階での制作費を確保する流れ、そしてウォーター・フォールという、興行収入の利益が数々の段階を通して分配される流れを、エンタテインメント系弁護士のロバート・カプランに学ぶ。これによって、映画製作における始まりから終わりまでの金の流れをひと通り学べる。特に、インディペンデント・プロデューサーを目指すフェローにとっては重要な授業だ。また、現役弁護士である教員から、スタジオと行なっている契約等の裏話を毎週リアルタイムで聞くこともできる。 
業界職業
 大手タレント・エージェンシーのリタラリー部署(脚本や出版物の権利を扱う、俳優部署と並ぶ2大部署)の重役であった元エージェントの教員が、業界で生き残るためのキャリア・アドバイスを行う授業。プロデューサーとして生き残るためにはどのような能力が必要なのか、そしてタレント・エージェントからキャリアを始めることがプロデューサーとしていかに有利なのか、といったことを学ぶ。